メインコンテンツにスキップ

知られざる歴史:ナチスは絶滅種の動物を復元するプロジェクトを行い、それを成功させていた。

記事の本文にスキップ

63件のコメントを見る

(著)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
Advertisement

 ドイツのファシズムイデオロギー(ナチズム)は、国家の強さを保つため、行き過ぎた実力行使により世界を混乱させていったわけだが、一方で、そのナショナリズムは、古き良き時代への回顧主義へとつながり、かつて栄えていたドイツを取り戻そうという運動にまで及んでいた。

 ナチスは、中世時代の素晴らしく壮大だったドイツの森を元の姿に復元するという、歴史上あまり語られることのない試みを強制的に行っていた。その一環として、1672年に絶滅した動物を蘇らせるという復元プロジェクトを行っていたのだ。このプロジェクトは1920年代より、ナチス命令の元、2人のドイツ人動物学者により着手された。

ソース:The Nazi breeding program that resurrected an extinct species

原文翻訳:R

 キャビネット・マガジンに投稿された、マイケル・ワンの記事によると、ナチスは、野生種としては1672年に絶滅した家畜牛の祖先であるウシ科の動物「オーロックス」の復元を試みていたことが記述されている。

 かつてのドイツでは、いたるところにいたという、オーロックスが絶滅してしまったことを悔やんだナチスは、ハインツ・ヘックとルッツ・ヘック(以下ヘック兄弟)という2人の生物学者を採用した。この兄弟は、当時では今より難しいとされる、「絶滅した生物の復元」というその課題にひるまずに立ち向かい、世界中にいるオーロックスと同類の生物を異種交配することでオーロックス”復元”の任務をやり遂げる決意をした。

オーロックス  

この画像を大きなサイズで見る

 ヘック兄弟は数世紀前のオーロックスの詳細データと、保存されていたオーロックスの図版を参考にして、コルシカ島種、ハンガリアン・グレイ・キャトル、スコティッシュ・ハイランド・キャトルなどの畜牛の近代種を数種交配した。1932年、オーロックスの復元にほぼ成功。誕生した生物は驚くほどオーロックスにそっくりだった。しかしナチスは新・オーロックスを動物園の囲いの中で飼うことはせず、その牛達の”野生”環境の復元に着手した。

 復元したオーロックスを動物園という人工的で限られた領域に閉じ込めてしまっては、「失われたドイツを取り戻す」という本来の目的は達成されない。この生物を自然の食物連鎖に組み込ませることで、はじめてこのプロジェクトは完成するのだ。

この画像を大きなサイズで見る

ヘック兄弟らは、17世紀の環境に近い場所を模索した。オーロックスを生息させるための理想的な敷地として、ヨーロッパに残された最後の原生林の一つであるビャウォヴィエジャの森があった。その森は、ポーランドとベラルーシの国境に位置し、ポーランド国王とロシア皇帝の狩猟場として歴史的に保護されていた。

 オーロックスの復元に加えて、ナチスはその森に本来住むバイソン、エルクや鹿など、すべての鳥獣類の復活にも取り組んだ。バイソンに関しては特に難しく、ヨーロピアン・バイソンとカナディアン・ウッド・バイソンの異種交配は減少傾向から頭数を多く増す必要があった。

この画像を大きなサイズで見る

 ヘック兄弟の予想通り、彼らが蘇らせたオーロックスはビャウォヴィエジャの森で半野生の状態で存続し続けた。また、蘇らせた動物たちが、戦争を生き延びたと聞いたヘック兄弟は、「彼らが周りの自然にうまく順応している証拠だ」としてその事実を誇らしくげに述べた。だが、ポーランドの森林管理局にとって、創られた牛は非常に不自然だった。なぜなら数百年もの間、その森にその牛達は存在しなかったからだ。

 戦も激しくなり、ヘック兄弟の動物達を捕獲する名目で臨時の囲いが設けられたが、動物達だけでは生き延びるのは無理だろうと誰もが想定していた。第二次世界大戦後、ポーランドの国境が変更となった。ビャウォヴィエジャの森はソビエト管轄下の東側と二つに分けられた。ヘック兄弟のオーロックスは長期間にわたるベラルーシへの越境により、そのほとんどは死んでいった。残りの動物達を絶滅から救うは手だては無いように思えた。

 ところが、ヘック兄弟のオーロックスは完全に消えることはなかったのだ。生き延びた数頭が自然交配し、今日までなんとかその種をつないできたようだ。「ヘックキャトル」として知られているこの動物は、今やドイツやヨーロッパのあらゆる牧場で見ることができるという。

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 63件

コメントを書く

  1. 凄いな…遺伝子的は兎も角、形質的には同一のを復元ししかも自然へと回帰させるなんて

    • +12
    1. ※1
      ある意味遺伝的にも復元してるんじゃないかな?
      その形質を発現する遺伝子が組み込まれてるんだからさ

      • +5
  2. ナチスってさりげなく凄いこといろいろしてるよね

    • +40
  3. かたや、ユダヤ人の絶滅を計画
    生き物を全て管理する神になりたかったのか

    • +13
  4. 悪いイメージしか持たれてないナチスが残した最大の功績ですね。
    金のために平気で絶滅しかけている命を奪っている連中を絶滅させたいと思いました。

    • +10
  5. 今は南極のインナーアースに通じる通路に都市を作って住んでいるはず(´・ω・`)

    • +4
  6. 絶滅生物の復活自体は偉業だけどベラルーシの森にとっては外来種になるんじゃないかという心配もあるな
    完全に人間の手を放れて生きていけるようになるってのはすごいなぁ

    • +11
  7. 日本でも個人でニホンオオカミを復元しようとしていたひとがいたなぁ。。

    • +7
  8. こんなことができるのならマンモスとかはできなかったのかな?
    昔にできたなら今もできるはずだ!!

    • +8
  9. えーとまて。この動物は結局、なんなんだ??
    「オーロックスに(見た目は)よく似たオーロックスではない何か」みたいな?
    「じょうずに混ぜました~!」ってことか。
    なんかすげえなナチス。

    • +1
  10. ヘックキャトルなんて生き物が全然検索に引っかからないんだけど実在するの?

    • +10
  11. アウシュビッツのが最大限に目立つので埋もれがちだが、ナチスは実は健康にも強い関心があり小麦粉は精白したのよりも全粒分を奨励(だったか規則できっちり決めたかはとにかく)したり、禁煙を率先したりしてたのを思い出した。
    2番の人も言ってるけど、実際当時としてはナチスは色々と「大事業」をしてたと改めて実感

    • +3
    1. >>17
      日本でしか通じないカタカナじゃなく、
      Heck cattleで検索してみ?

      • +6
    2. ※17
      Heck cattle で検索すれば出てきます
      厳密にはオーロックスに近い別の種でしょうね

      • +3
  12. 落ち着いて考えたら、これ、単なる品種改良にすぎないなぁ

    • +13
  13. ユダヤ人を絶滅させようとした理由を知りたいところだね
    論理的で理性的な理由があるはず

    • +8
  14. 十数年で交配だけでそっくり再現て凄いな

    • 評価
  15. 記事を読む限りでは、形態”だけ”を限りなく近付けただけの全くの別種に思えるのだけど、実際どうなんでしょ。
    復元というより似せモノ?

    • +5
    1. >>21
      アーリア人の純血性を守り国内にはびこる外国人既得権集団を排斥するため、ドイツはユダヤ人の「国外退去事業」を推進していたが、その最中、ユダヤ人隔離施設で疫病が発生し、多くの犠牲者を出してしまった。それが戦後になるとなぜか「毒ガス室」などの大虐殺へと話が摩り替わり、今では6百万人がホロコーストに遭ったということになっている。

      • +1
  16. ニホンオオカミをどうにかしてくれ!
    イノシシやら増えすぎ!

    • +5
    1. 雑種化した品種の再固定みたいなもんだね
      >>27
      種なら同じだぜ
      というか普通の牛とオーロックスも同種w

      • +6
  17. ちょっと興味を持ったから横から手を加えただけでしょ。
    大いなる大自然の摂理からすれば、あまりにも矮小な行いで児戯に等しいものだ。
    「神の領域」と表せば聞こえがいいかもしれないが、驕るなと突っ込みたくもなる。

    • +2
  18. ナチが現代に残ってたら絶対DNA改造して超人類誕生させるよなw

    • +6
    1. >>30
      歴史修正主義者ってまだいるんだね
      何を信じようが本人の自由だけど、都合の悪いことから目をそむけているだけだと思うね

      • -4
  19. すごいのか?ただ昔の資料に似た牛を人工交配して、野に返しただけに見えるが・・・。

    • -4
  20. ナチスなら何が出来ても不思議ではないという風潮

    • -1
  21. ??なんか、コメント評価システムの+・-つけるのなくなってない?

    • +1
    1. >>34
      正確にはオーロックス種のさらに亜種が家畜のウシ。
      イノシシに対するブタとほぼ同意。

      • +3
  22. この国は秀吉が貴重な文化遺産を全部燃やしたと言い出す歴史修正主義者に囲まれているからね。
    歴史に対しては懐疑的になるのが常識になっているのよ。

    • 評価
  23. あー、日本狼の復元、けっこう良い所までいったんだっけ。
    戻り狼?って近い種までたどり着いたけど子供のまま死んじゃったんだよな。
    写真でみたけど確かに狼っぽかった

    • -10
    1. >>38
      修正主義者って本当は悪い意味でもレッテルでもないんだけどね・・・

      • +3
  24. >41
    貴方はニホンオオカミを見たことがあるのかい?
    ある文章によれば
    日本にある剥製が「ニホンオオカミ」とされているのは、その毛皮の中身だった頭骨がオオカミの特徴を備えていたからオオカミと鑑定されただけで、外見で判断されたのではありません。
    だってさ
    戻り狼を作っていたという高校教師も絶滅したとされる1905年には生まれてもいないよ
    戻り狼って狼オタクの狼はこうあるべきっていう妄想の産物だろ

    • 評価
  25. まぁ、正直人間よりも動物救った方がずっとずっと気分がいいがね。
    人間は救ったら救ったでプライドとか気持ちとか何とかかんとかでスイッチが入って「助けてほしくなかったとか」分けわからないこと言いやがって。
    そのままタヒねよ、って気持ちになるケースが多すぎる。
    こーゆー絶滅した動物を復活したり、絶滅危惧種を救ったりする壮大なプロジェクトはエライ人たちに任せて、俺らは殺されそうな犬や猫を救えばいいよ。

    • +6
    1. >>43
      教科書に書かれている事は全て正しい事だと信じてるんだからほっといてやれ。
      科学者から見てどう考えても毒ガスを扱えるような建物でなくても、毒ガスとされてる容器が実はタダの殺虫剤だったと言う事も歴史修正主義者の妄想だって思ってるんだよw

      • 評価
  26. 毒ガスやガス室が発見されず、死体や死体を処分する方法がない以上、ホロコーストは無理がある。
    劣悪な環境におくだけで人は簡単に死ぬ、死ぬに任せたという方が適切では。
    ユダヤ人を根絶する気なら収容所を作り、輸送し、終戦まで食料を与え続けない。
    収容所に輸送すると騙し、その場から順に連れ出し、近くで殺す古来のやり方で十分。

    • +1
    1. >>44
      その根拠は?信頼出来るソースが提示できなきゃただの妄想か陰謀論でしょ。少なくとも教科書に書かれてるものは古いかもしれないけど、ある程度根拠があるんだから

      • -3
    2. ※44
      >>実はタダの殺虫剤だった
      実はもなにも、殺虫剤だよ。誰でも知ってるだろ。ただし、青酸系のな。
      ツィクロンBの毒性はフマキラーやキンチョールとは全然違うぞw
      さすがに常識だろ。

      • +5
      1. ※48
        ちなみにガス室が発見されたとされるのはソ連に占領された地域で
        アメリカなど連合軍の地域ではいっさい見つかってない
        (環境が凄く悪い状態で飢餓や病死しているユダヤ人が大量に出ていた収容所は見つかっている
        なおその収容所がそんな事になった原因の一端は収容所に物資を送る列車を連合軍が爆撃したからってのも判明している)

        • +6
        1. ※58
          列車爆破で食糧不足はデマだぞ
          アウシュビッツでも後期は食糧事情が良くなって生存率が上がってる
          ガス室の存在を否定するのは陰謀論の域に達してるので、
          コピペブログからではなく、一度wikiからでもちゃんと記録記述を見るべき

          • +2
  27. 人間を灰にするには大量の燃料が必要で、大勢となれば相当の輸送が必要で、余裕ない。
    ガス室もそうだが、実行しかつ隠蔽するには、資源大国でもないと無理。
    資源大国ならドイツ戦争継続可能だったし、そもそも戦争起こす必要がない。

    • +5
  28. >>かたや、ユダヤ人の絶滅を計画
    湯ダヤ資本の人達が今迄なにをやって来たかちょっとは調べた方が良いよ
    せっかくインターネットしてるんだしさ。
    人身売買、奴隷商売、シャブ、大麻 独占販売、戦争商売(ワザと戦争をさせる様に工作)
    あのアヘン戦争だって彼等がバックで跳梁してた訳ですから。
    その一族(サスーン)は今も香港等で生き残っていて薄汚く商売してますね。
    6区フェラーで検索してみると汚い生き様が浮き彫りに

    • 評価
    1. >>49
      ナチスは石炭は豊富にあったよ。死体を焼くなら石炭でも薪でも廃油でも可燃物なら燃料じゃなくてもいい。

      • +7
      1. >>47
        末期にはナチスが隠蔽工作を行っているのが事態を余計ややこしくしてる。ガス室などはほとんど爆破されてるし。死体の処分は、ガス室とは別の問題だけど、川に灰を流す証言と航空写真があったかと。
        一方で人間石鹸は今では否定されている。だからといってガス室の存在が否定できるほどの証拠はまだないと思う。
        >>収容所に輸送すると騙し、その場から順に連れ出し、近くで殺す古来のやり方で十分。
        それもやってるね。有名なのはバビ・ヤールの虐殺。
        確実なものだけでわずか数日で3万3千人、累計は不明、7万人とも10万人とも。ほんとナチスは勤勉だよ。
        反論を法的に規制している国もあるし、論争はおわらないだろうね。

        • -5
  29. 早くタイムテレビが開発されて欲しいもんだね

    • 評価
  30. ナチス最大の功績はアウトバーンとビートルだろ

    • +1
  31. 自然に対する畏敬の念が、文化も人種も異なる遠い国と意気投合させたんだろうね。
    しかし戦時下の日本は残念な事に飼い犬を毛皮にしたり動物園の猛獣を殺処分したりしたんだよな・・・。
    ドイツが環境保護や動物福祉に前衛的な国だった事は確かなようだ。
    ホロコーストさえなければねえ~

    • -2
  32. 今となっては戻し交配で原種に近づけたで説明のつく話だけど
    ゲノム解析もない時代に形態的特徴を基準にしてここまでやったことは凄い

    • +2
  33. めっちゃ凄いやん(゜〇゜;)!!
    なのになんでこの話、知られてないんだろ?

    • +2
  34. もしかして世界初の人工飼育成功例だってことか? 人は絶滅政策 牛は繁殖政策だってこといろんな意味ですげーなナチは。

    • +1
  35. そのそもナチスが悪い、日本が悪いなんて戦勝国が勝手に決めたことだからな
    あの状況で良い国なんか無い

    • +4
  36. 近代種の交配で成し遂げられたという『オーロックス”復元”』
    だが、最後のオーロックスは1627年にヤクトルフで死んでいる。
    “復元”されたという”オーロックス”は、過去を偲ぶ『生きた模型』に過ぎない。
    ナチスはそれを理解していなかったようだ。
    ワーグナーの歌劇にある「ジークフリードのオーロックス狩り」を再現したかっただけではないか?

    • +4
  37. バックスバニーの闘牛士のアニメに出てくるのがオーロックスでしょうか?

    • +2
  38. 政権とったのは1933年だから、どうかなぁ

    • +7
  39. 焼肉店がそのうち出来てたかもなwww焼肉の本場がドイツだったかもしれん

    • 評価

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

知る

知るについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

歴史・文化

歴史・文化についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。