メインコンテンツにスキップ

危険度に応じて異なる装備。アメリカの国家警備隊(州兵)の3種の防護具

記事の本文にスキップ

9件のコメントを見る

(著) (編集)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
image credit:Senior Master Sgt. Gizara / National Guard
Advertisement

 現在、新型コロナウイルスによるパンデミックの中、医療従事者らは万全の装備で治療や対応にあたっている。

 では、子アメリカにおける軍事組織の1つで地域の治安出動や災害派遣など緊急事態対処にあたっている国家警備隊(州兵)はどうなのだろう。

 ニューヨークのスコシアにあるWeapons of Mass Destruction Civil Support Team(大量破壊兵器行政機関)には、いくつかの防護具が常備品が用意されており、災害や事件・事故の内容や危険度に応じてそのいずれかをチョイスする。

危険度により異なる国家警備隊の防護具

 Weapons of Mass Destruction Civil Support Team(大量破壊兵器行政機関)にあるのは、国家警備隊が危険度にあわせて着用するPPEと呼ばれる個人用防護具だ。

 それは環境保護局防護基準により定められているもので、ニューヨークのスコシアに常備されているレベルA~Cまでの防護具を見ていこう。ちなみに、写真左からA、B、Cレベルとなっている。

この画像を大きなサイズで見る
image credit:Senior Master Sgt. Gizara / National Guard

レベルA:サリンガスまたはフッ化水素酸対応

この画像を大きなサイズで見る

 こちらはシルバー&オレンジ色の防護具で通称「マシュマロスーツ」と呼ばれるものだ。中に人が入ると、着膨れすることからそう名付けられたという。

 サリンガスやフッ化水素酸など最も危険度が高い汚染状況に使用される基本スタイルで、蒸気やガス、液体、細菌等あらゆる形態の生物化学物質による汚染下での使用が可能となっている。

 特定の領域で何を扱っているか全くわからない場合や、空気が汚染されており呼吸や皮膚接触を回避する必要がある場合に着用する。

 スーツの内部は気密レベルが高いため、着用時には酸素ボンベに充填された空気を呼吸することになる。

 SCBA(消防士が持っているような自給式呼吸器)もしくは、閉鎖式(または半閉鎖式)で呼吸を循環させる装置「リブリーザー(rebreather)」と呼ばれる酸素ボンベを使用するが、リブリーザーは酸素ボトルと氷を備えたシステムを組み合わせたもので、空気をリサイクルして4時間の持続使用が可能だ。

レベルB:硫黄マスタード(ガス)対応

この画像を大きなサイズで見る

 レベルA同様酸素ボンベを装着した防護具使用となるが、レベルBの場合、機器はエアシールに包まれておらず、スーツの外に取りつけての使用が可能となる。

 この防護具は、揮発性ガスやガスの発生による危険を心配する必要はないが、肌への飛沫を回避したい時に着用し、万が一の時を考慮して酸素ボンベによる呼吸に依存する。

 レベルBの防護具での対応は、例えば硫黄マスタード(ガス)による事件・事故などである。

レベルC:炭疽菌など

この画像を大きなサイズで見る

 このレベルの防護具は軽量なため動きやすい。供給をSCBAやリブリーザーに依存する代わりに、フィルターに接続されたフェイスマスクにより周囲の空気の有害な粒子をブロックしてくれる。

 フィルターは、マスク自体に取り付けることもホースの端に配置してベルトに取り付けることも可能だ。

 また、マスクは炭疽菌を振るい落とすことができるM53マスクを使用。防護具の内側には、化学薬品が飛び散った際にそれを吸収するのを助ける役目を担う特殊なライナーが取り付けられているものもあるという。

この画像を大きなサイズで見る
image credit:Maj. Jason Reed / U.S. Army National Guard

COVIDー19(新型コロナウイルス)の防護服は?

 国境警備隊がコロナウイルスから身を守る際に着用する防護具は、レベルCよりもワンランク低いものだと推測される。

 というのも、医療従事者が装着しているような顔と目を保護する紙のような使い捨てのタイベックススタイルの防護具は、軽量で動きやすいからだ。

この画像を大きなサイズで見る
image credit:Staff Sgt. John Vannucci / Air National Guard

 それに合わせて2組の手袋、N95マスクを装着するのが理想的とされる。N95マスクは、コロナなどのウイルス排除には適しているが、炭疽菌には不十分だ。

 また、装着と脱着は決められた順番で行うことを必要とされる。まず、内側につける手袋をし、次にマスク、スーツ、そして外側の手袋といった順で装着。脱着はその逆で、外側の手袋から先に外し、スーツ、マスク、内側の手袋、そして最後に手洗いと消毒をしっかりと行う。

 なお、コロナ危機の間には約21300人の国家警備隊が派遣されているという。

 ちなみに余談だが、スコシアのWeapons of Mass Destruction Civil Support Team内には、タロン4(Talon4)というロボットも待機している。

この画像を大きなサイズで見る
image credit:Senior Master Sgt. Gizara / National Guard

 これは、IED(即席爆発装置)のような爆発物を処理するために使用されるという。化学的、放射線学的、核の脅威に対処するために作られたLIDAR搭載のタロン4は、危険な地域へも偵察兵として派遣されるということだ。

 新型コロナウイルスの防護具は軽量で動きやすいとは言え、着脱を繰り返すのは大変な作業である。

References: Popular Science

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 9件

コメントを書く

  1. 一番下の映像が”防護服着脱”ではなく、”防護服着用”だな。

    なおレベルDまであって、消防士の出動服がレベルDクラスじゃなかったかな?

    • 評価
  2. 米軍は基本フランス軍に範を取った制度なんで、地方分権な共和国の衛兵たるla Guarde Nationale を翻訳してNational Guardじゃないかと思ったり。定訳ではないが。
    「ブリエアの解放者たち」では、「国土防衛軍」と翻訳していて、state militia時代の訳語が制度変更後も修正されてない「州兵」よりは確かに正しいと思ったが、
    憲法修正第二条に基づく「規律ある民兵」として、連邦軍への潜在的対抗力を期待されてるニュアンスだと、「国民衛兵」でないかなやはり…

    • +1
  3. That rebreather is a combination of an oxygen bottle and a system, complete with ice, that recycles the air to make it endure for four hours compared to a basic SCBA, which only lasts about an hour.

    complete with iceは氷着しても動くという意味ではないでしょうか。通常のSCBAは氷着すると圧縮空気中の水分が凍って中の弁が動かなくなるので。
    リブリーザーは呼気中の二酸化炭素をキャニスターで吸着し、酸素ボトルから酸素を補給することで吸気にリサイクルします。

    • 評価
  4. 最終的に街ごと焼き払うみたいな…滅菌部隊とかバタリアンとかアウトブレイク的な…
    中国やロシア辺りならウイルス殲滅にそれぐらいマジでやりそうで怖い

    • +2
  5. まずないけど生物化学兵器を使用したテロが頻発する情勢になれば
    米国では空を見て天気を把握する様に、今日はレベルCだから
    炭そ菌系のテロかぁってな具合に判断できるわけか。

    そういえばレベルAのスーツが配備された背景という訳ではないが
    ミリオタなので米国のそういうサイトを巡回しているけど
    コロナ以降、防疫や除染の話題や商品が頻繁に記事になりだして
    高い確率で開発背景としてサリン事件を示唆する一文があり
    20年以上たって、国外に及ぼした事件の影響の大きさを知れた。

    • +1
  6. トイレ行きたくなったら大変だよこりゃ。

    • 評価
    1. ※9
      オムツしてたと思う。
      医療従事者の方には本当に頭が下がるね。

      • 評価

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

知る

知るについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

料理・健康・暮らし

料理・健康・暮らしについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。