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合成DNAを埋め込み、自らのクローンを作成するうさぎのフィギュア(スイス研究)

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(著) (編集)

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Ryan McGuire from Pixabay
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 妙な話だが、あなたからはらりと落ちた髪の毛やまつ毛、フケやらにだって、そこにはDNAというあなたの設計図が入っている。

 これと同じくことを無機物でやってしまった研究者がいる。素材に合成DNAを埋め込むことで、オリジナルのほんの断片からでも全体を復元することができる3Dうさぎフィギュアを完成させたのだ。

DNAという超大容量情報保存システムを応用

 自然とは天才的なもので、これまで人類が発明してきたあらゆる情報保存デバイスよりもはるかに優れたシステムを編み出した。それがDNAだ。

 この高密度な情報保存システムは、たった1グラムの中に215ペタバイト(2億1500万ギガバイト)ものデータを保存できる。そのうえ、条件さえよければ数百万年の時間にも耐えることができるほど堅牢だ。

 超大容量・超高耐久性を誇るDNAをヒントにして、情報保存テクノロジーを開発しようと試みる科学者がいるのもうなずけるだろう。これまで、本700億冊分をDNAに書き込んだ研究動画をバクテリアのDNAに書き込んだ研究などが発表されてきた。

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Darwin Laganzon from Pixabay

「モノのDNA」――熱可塑性ポリマーに合成DNAを封入

 今回、チューリッヒ工科大学の研究グループが考案したのは、モノのインターネットならぬ「モノのDNA」と呼ばれる保存システムだ。

 同グループは「スタンフォード・バニー」というウサギのCGを作り出し、コード化された設計図をDNA分子に書き込んだ。これを保護用のシリカビーズ内に封入し、さらに熱可塑性ポリマーに組み込む。

 こうして出来上がったDNA入りポリマーを使って、3Dプリンターでスタンフォード・バニーを印刷するのだ。

 印刷されたウサギのフィギュアには自分自身の設計図であるDNAが備わっている。フィギュアからほんの断片を採取し、そこに含まれるDNAを解読すれば、まったく同じクローンバニーを複製することができる。

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Gogadicta/iStock

5世代のクローン作成に成功。動画の保存も可能

 実験では、クローンが5世代作成されたが、そのプロセスで情報が失われることは一切なかったという。また5世代目は4世代目から9ヶ月の間隔をおいて作成されたが、最初のクローンとまったく同じようにDNA情報を読むことができた。

 スタンフォード・バニーの遺伝情報はわずか45キロバイトでしかなかったので、もう少しデータ容量を増やした実験も行われた。

 その実験では1.4メガバイトの動画をアクリル樹脂に保存し、メガネを作ってみた。もちろん、少量のアクリル樹脂から見事動画の復元に成功したとのことだ。

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ETH Zurich / Julian Koch

ロボットにも子供が産めるようになる?

なんだかすごい実験だが、はたして実際の用途となると案外思いつきにくい。

 研究グループは、秘密の情報を日用品の中に隠したり、個人の医療情報をインプラントに記録したりといった応用法を提案している。

 あるいは自己複製可能な機械にも使えるかもしれない。そう、無機質なロボットが自分の子供を作れるようになる――そんな未来もあるのかもしれない。

 この研究は『Nature Biotechnology』(12月9日付)に掲載された。

References:ETH Zurich/ written by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 24件

コメントを書く

  1. プラスチック成型に耐えうるマイクロチップをDNAで作ったよ、という論文ですね
    DNAは情報をメモリーするために使ったので、別に生物的な用途に限らず利用できます
    でも現時点では従来の電子チップのほうが記憶できる情報量も多いし非接触でのアクセスもしやすし、DNAのメリットは薄いかな
    高磁場環境で情報を保管することとかには使えるかも

    • +9
  2. 人類絶滅後はこんなうさぎだらけの世界に…

    • +5
    1. ※3
      ウサ耳の女の子しか居ない世界ですか。
      素晴らしいですね。

      • -3
  3. 気持ち的に立像ホログラフィみたいな感じですかね。

    • 評価
  4. 生物と非生物の境界が分からなくなりそうだ

    • +3
  5. 製造手段が含まれてないとただの100円ケースにその設計図入れてあるのと変わらんような

    • +1
  6. 飛躍して考えると、人間が宇宙を創生する時代も来るかもな・・

    • +1
  7. 海賊版が作りやすい!とか邪な用途しか思い浮かばなくて反省した

    • 評価
    1. ※11
      例えば、今まではウサギのおもちゃを作る時には、そのウサギのおもちゃの設計図を外部で用意しないとウサギのおもちゃは作れなかった。
      今回出来るようになったのは、うさぎのおもちゃ自体に設計図を言わば練りこんであるので、うさぎのおもちゃさえあれば外部から設計図を持ってこなくても、同じウサギのおもちゃを作る事が出来るようになった。

      • +14
  8. よく意味わかんないけどうさぎかわいい
      ∩∩
     (・e・)
      ( )

    • +4
  9. こうして実際にDNAが設計図として機能してる所を見るとただのタンパク質の鎖が
    生物の複雑な構造を再現するための設計図を担ってるって嘘みたいな話も
    本当の事なんだなって思えるね

    • +3
  10. DNAは設計図じゃないよ
    ソースコードを設計図と言ってしまう違和感だな

    • -5
    1. ※15
      ソースだから調味料?
      じゃあ本体の食べ物が設計図ってこと?

      • 評価
  11. スパイ映画みたいに機密情報隠せたりするんかなーと思ったけど、読み書きに手間がかかりすぎちゃうわな。

    • 評価
  12. 「DNA化面倒くさいからリンク先書いたQRコードのシールでも貼っとくか。」

    • +3
  13. そのDNAを解析する装置にもDNAを組み込まないといけないな。

    • 評価
  14. DNAは読み出し書き込み時のエラーを考慮すると、実際に記憶できる情報量としては微妙なのがアレなんすよね。

    • 評価

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