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学習は競争ではない。シンガポールの小学校卒業試験の採点方法の見直しが行われる

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(著) (編集)

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 シンガポールでは、小学校6年生になると小学校卒業試験 ( PSLE:Primary School Leaving Examination) が実施され、学力順に進学する中学校が選択される。

 PSLEは進路を決定する重要なものとなっているが、今この採点システムを改革しようとする動きが出ている。

 シンガポールは教育熱心な国として有名だが「試験の結果に過度に依存していては、変わりゆく現代経済が必要とする人材に見合う若者の育成に効果があるとはいえないだろう」と、教育大臣のオン・イェ・コング氏は7月28日に発言した。

教育システムの抜本的な見直し

 オン教育大臣は、PSLE(小学校卒業試験 )の採点システムの変更だけでなく、2024年までに行われる中学校での能力別クラス編成の廃止や、大学や技術系専門学校の適正を重視した入学許可の導入など他の変革もあげ、教育システム全体の大幅な改革を照らし合わせて見ていかなくてはならないと発言した。

今、この国の教育システムを大幅に変革する時期なのです。たったひとつの狭い評価ではなく、我々が長年体系的に行ってきた包括的な評価全体によって行われるべきでしょう。現行のシステムのもとで、我々はこの国の子どもたちの未来のためにより良い教育ができるはずです

2021年より行われるPSLEの採点システムの変更

 PSLEの採点システムの変更は、2021年に行われる予定だが、これに慣れるために2020年から、新しいPSLEの採点システムによって小学校5年生の生徒の成績を評価するという。

 新たなシステムのもと、生徒たちは現行のTスコアシステム(偏差値の合計点のようなもの)に代わって、幅広い学力枠によって、採点されることになる。これは、過剰な試験偏重を避け、その子自身の達成レベルを評価するための改革の一環だ。

 シンガポールの学校システムは日本と異なり、Primaryが小学校で6年制、Secondaryが中学校でエクスプレスコースが4年制、ノーマルコースその他が5年生となる。Post-Secondaryが高校で2年制となっている。エクスプレスコースがいわゆる大学までの進学コースとなり、全体の約6割を占める。

 オン大臣によれば、新しいシステムは、中学校へ進んで、エクスプレスクラスに入ることができる生徒の割合といったことに影響を与える可能性はあまりないという。

 生徒たちが、まだ達成水準をベースにした採点システムに基づいて成績を評価されている事実を考えると、子どもたちの親は、PSLE採点システムの改革は”一大事”であると思うかもしれない。

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Image by tang90246/iStock

他人と比べるのではなく、自身の達成度を評価

 ふたつのシステムを比較すると、Tスコアシステムは、全国で行う徒競走大会に似ているが、新スコアシステムは個人のシンガポールで行われている体力テスト(IPPT)のようなものだと、オン大臣は言う。

競技会は、タイミングがひとつの要素ですが、自分の前に誰がいて、後ろに誰がいるということによって決まる、自分自身が今いる位置(成績順位)は二の次になります

 新システムのもとでは、生徒たちは他人と比べるのではなく、自分自身の真価で採点される。

常にほかの生徒と比べられるのとは対照的に、生徒たちは自分の達成度に集中することができるのです

 新PSLE採点システムが、中学入学手段としてどのような意味をもつのか、基礎レベルの科目しか履修しない生徒は、エクスプレスクラスに及第する可能性が低いのかどうかついて、父兄が心配する可能性があることは気づいているという。

 しかし、新制度ではエクスプレスクラスの枠は4ポイントから22ポイントに広がるという。

 だから、基礎レベル科目の履修だけでも、必ずしもエクスプレスクラスに行けないということにはならない。とはいえ、新システムに慣れるには多少の時間がかかるかもしれないとのことだ。

 教育大臣は先週の木曜日、特別な教育支援を必要としている生徒のための基礎レベルの科目が、新システムのもとでどのように採点配分されるかを説明した。

 基礎レベル科目は、標準科目をAL6からAL8と判定されたAL AからAL Cで評価される。基礎レベル科目で30~74点だった生徒は7ポイントが与えられ、これは、標準科目で20~44点をとるのと同じレベルということになる。

 4つのPSLE科目すべてのトータルポイントが、入学できる中学校を決めるのに使われる。PSLEを受ける生徒10人のうち、ひとりは少なくともひとつの基礎レベル科目を受けていることになる。

 生徒の父兄は、新システムは複雑すぎると思うかもしれないが、GCE(一般教育資格)のOやNやAレベル試験ですでに使われていた採点システムにとてもよく似ていると、オン大臣は言う。

 たったひとつの結果しか出ないTスコア評価と比べて、各科目のスコアが出るため、はるかにわかりやすいシステムだという。

2021年までに、混乱もなく、人々が新しい採点システムや集計の計算方法を理解してくれるだろうと確信しています(オン大臣)

 これからは父兄と生徒たちが、受けて高い点数を出さないと大変なことになる一発勝負の試験という観点でPSLEを見ることはなくなるだろう、というのだ。

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 そのかわり、オン大臣は強調する。「これは、あなたにとって適切なコース、適切な科目、入学することができる適切な学校をきちんと振り分ける中学実力試験であることを忘れないでください。それがこの制度の目的なのですから」

 オン大臣は、PSLEを長い生涯学習の旅のほんの一部だと表現した。「子どもはそれぞれの人生を通して学ぶことがもっとたくさんあります。だから、PSLEはただのチェックポイントのひとつにすぎないのです」

References:New PSLE scoring system part of significant reform to education system: Ong Ye Kung, Education News & Top Stories – The Straits Times/ written by konohazuku / edited by parumo

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この記事へのコメント 32件

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  1. 日本の何十年も続く不景気を見ると学歴だけを就職の判断材料にするのは間違いなんだろう

    • +31
  2. 学力=人の価値ではない。
    そこだけは忘れないでほしいね。

    • +21
    1. >>2
      学力=人の価値ではなくとも、学力も人の価値であることは確か。

      • +4
      1. >>12
        昨今の学力低下と
        箔づけ消化主義はどうしたもんかね。

        • 評価
  3. 難関大学に入りやすいのは、子供の頃、水泳を習っていた学生だそうだ。
    水泳は0.01秒単位で成績付けられるからだという。
    自分の能力、他者との位置を知り、そこから努力するからだ。

    なまじ自身と他人との能力差(各種成績位置)を知らないと何処をどうすればいいのか学べない。
    他の習い事だとこれほど成績で並べられることはないし、かつそれを鍛えてくれてコーチもいない。

    • -11
  4. うw
    途中で送っちゃったよorz
    とにかく水泳のように成績提示は大事だということ。
    足りないところを教えてくれるコーチがいること。
    これがいい。

    • -9
  5. 「リザルトやフィードバックを元に足りない部分を認識して改善に役立てるべきなのであって、ランキング出されてもモチベ上がんねーぞ」って事で良いかな?

    • +11
  6. 人材ってなんだろうね、中卒の利発な若者もいれば、大卒のポンコツもいる。
    中卒だから良いとか、大卒だから使えないとかじゃなくて、学歴とは関係がないんじゃないかと思うよ。

    • +25
  7. 言葉尻をとらえるようで悪いけど「現代経済が必要とする人材」をつくる教育なんてゴミを量産するようなものよ

    だって彼らが活躍するのは未来なんだから

    • +8
  8. マラソンに例えるなら、早く走れと急かされ、全体の中の順位をたえず意識させられ、下位グループはバカだと笑われ、早くゴールした上位者だけにご褒美は与えられる、ということか。
    それよりも、自分のペースで走り、脚力がついた事や心肺機能が上がった事を確かめ、それぞれが自分のペースで走れるようになる事を目標にする方がよいね。
    もう高度成長期ではないのだから、他人を蹴落としてトップに立つ、他者の評価が基準になっているような生き方は止めた方がよいね。自分がやりたい事を探せる体力をつけて、自分が満足できる人生を送る方がよいね。

    • +11
  9. もともとシンガポールはほぼ都市国家なこともあって人口が少ない。
    基本、トップをバリバリ鍛える英才教育だったんだけど、やはり頭数が足りなくなってきたんだろうね。底上げのほうが大事になってきた。
    故リー・クアン・ユーの影響が薄くなってきたのもあるだろうけど。

    • +2
    1. >>11
      タックスヘイブン的な側面もあってかなり格差やばいからね。
      今後はアジア経済のハブとしての需要は高まる一方だし、頭数については早めに解決したいだろうな。

      • 評価
  10. やり方はいいと思うけど、やれるかどうかは別
    教育を変えるなら制度より、先ずは教師の在り方を変えないといけないのでは?

    • 評価
  11. 日本で大失敗したゆとり教育を知ってるのだろうか…
    競争意識を無くした瞬間に努力をやめてしまうのが人間の不思議なところなんだがそういうことを考慮しないと多くのモンスターを生み出すとんでもないことになってしまう

    • -13
    1. >>14
      本文読んでなさそう。
      教育批判云々以前に、前提読まず、理解せず自分の主張のみを行うのはなかなかの思考停止だな。

      • +3
  12. いうても、シンガポールって世界一学力のある国だからな?
    やるだけやったところが他のアプローチもしようってだけの話

    • +5
  13. その昔住んでたんだが、幼稚園のとき、シンガポール人の友だちのおかあさんに「日本人は勉強しないからいっしょに遊ばせない」って言われた、と家族がいっておる。

    • +3
    1. >>19
      先進国の中でもこんなにヌルい学歴社会なんてないのにメディアで有名大学出たコメンテーターが「日本の学歴社会ガー」なんて言っちゃって、それを真に受ける人が割と多いからねぇ

      この話とは少し異なるけど、就活の学歴選別を批判されたソニーが昔エントリーシートに学歴書かせるの止めたらそれを突破して採用された人達は逆に一流大学卒ばかりになったそうだ。

      • -2
  14. 一律の試験で、相対的な評価が判りやすいことも確かに重要。ですが、自分の到達度や理解度を、いかに客観的に分析して、その後の対策を打ち出すか。そういった自己評価能力が今後の社会で求められる人材かと。それはたとえ組織の一員たらずとも必要になってくると思います。
    それがこの制度改革で、そのような方向性において評価がどの程度機能するかは不明ですが、現状のままでは閉塞感漂う未来が予見されうるからこその、教育大臣の、危惧を含んだ発言なのでしょうね。

    • +4
  15. 日本の学校ではいまだに「何も考えずに」優等生になるということが重要視されてる。頭脳の主権を放棄した子どもほど賢いと判定されるような社会ではあまり未来はないだろう

    • +1
  16. まぁ、結局のところ学力低下とか言って大騒ぎするけど
    具体的に学力とやらが低下してどういう困ったことが起こるのかっていうと
    誰も明確には答えられないんだよね
    だいたい学力低下っていっても平均値が下がったってだけでしょ
    むしろ全体の学力低下よりも一部の高学歴の人間が科学者や技術開発にかかわる職業を目指すことが減ったっていうことの方が大問題なんじゃないの

    • -3
  17. ワイ武道系筋トレ民、日々の小さな積み重ねによって「出来ないことが出来るようになる」楽しさを知る。

    これを踏まえて言いたいんやけど。

    「ここまで出来なければダメです」って評価方法も場合によっちゃありだけど、「今まで出来てひんかったのに、出来るようなったやんけ!」って評価方法のほうが、評価される側が得るものは大きいのではないか、と思うですよ。この頃。

    国が民に教育を施すのは将来国を支える民を育てたいためであって。
    国を支える民なるものは、一握りの頭のいい連中の前で「ワイなんかアホやし」と卑屈になる人々ではなく、「あいつにかなわんかも知らんけど、ワイだってこんくらいは出来るんや」と、胸を張れる人々なのではないか。
    現在の自分の能力限界を知ってるなら、次に何を鍛えればいいのかその計画も立てうる。
    そういう精神でいれば、苦手なことも(めっちゃ時間かかるけど)多少は克服できる。
    どんな仕事するにしても、そんな心持ちでいたほうが楽だし動ける気もするな。

    そもそも、自分を低く見積もってちゃなんにも出来んやろ。
    出来ることを出来ないと思い込んだ時点で勝負の決着はついてしまうし。
    変な自信もどうかと思うけど、自分の能力値だけは把握しておいたほうがいい。

    せやからワイは、自身の達成度を重視するこのシステムを支持したい。

    お隣の達成度は気になるもんだろうけど、、、
    まあ、そんときは筋トレでもしようや。

    • +8
  18. 流石に世界的な状況見えてるし動きが早いね。
    現状維持で思考停止して、教育や若年層が後回しにされてる日本とは大違いだわ。

    • +4
    1. >>29
      そういう受け身な考えを持ってる人が今以上に排除されてくシステムなんじゃねーの

      • -5
  19. 単に相対的評価から絶対的評価(自己内相対評価)に変わっただけで、よくある「自分は自分、他人と比べる必要は無いんだよ」とは違うんだけど、勘違いしてる人が多い。

    • +2
  20. 先生に媚びうる必要がないカメラで個人をチェックして学内行動を色眼鏡無しで適正を判断出来るようになるのならば最高のシステムになるかもね
    媚びを売るしか能がなかったり大げさに作業をして大変アピールをする無能等には生きにくいかもしれんが

    • -2
  21. いや、競争であることは否定しないよ?

    技術者や設計士、唯一無二のクリエイターにだってあるからね?
    要はどれだけいい作品を作れるか?だからね

    • 評価
  22. 同じ年齢というだけで横並びにしとくのは効率悪いわね
    同程度の知能がないと会話もままならんから、達成度が早いやつは年若でも先に進めたほうが良かろうよ
    早いうちに個人としてリスペクトできる他者を見つけられるかと思う

    • -1
  23. 学力とは言うけど、その後の人生において習得した学識がどれほど役に立ってるのか?
    その学識を得るために費やす3年間だか7年間だか9年間だかは結局大部分が無駄になってないか?
    基礎的な読み書き四則計算読解をたたき込んだ後は、やりたい人だけが学習すればいい
    学術研究が本当に好きな人だけが進学すればいい
    猫も杓子も高校大学に進むような状況は、結局なんの利益も生み出していないんじゃないのか?

    • +1

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