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親が経験した記憶も子供へと受け継がれる(米研究)

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skalekar1992 from Pixabay
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 性格や行動は、遺伝子と環境のどちらによって形作られるのだろうか?あるいは、どちらの要因の方が強く影響するのだろうか?

 こうした昔からある「生まれか? 育ちか?」という疑問については相変わらず議論が交わされているが、ここ数十年で集められた証拠からは、親の経験がそれ以降の世代にも影響を与えることが示唆されている。

 『eLife』に掲載されたショウジョウバエを対象とした新しい研究は、この論争に興味深い知見をもたらすものだ。

 この研究に携わった、アメリカ・ダートマス大学医学部のジュリアナ・ボズラー氏は、親の経験という記憶が、環境によって引き起こされた改変によって子世代に受け継がれるかどうかを検証しようと思ったという。

寄生バチと接触したショウジョウバエの研究

 キイロショウジョウバエのメスは、寄生バチと接触すると、エタノールを含む食べ物に卵を産むようになることが知られている。

 寄生バチはハエの幼虫に卵を産み付ける危険な相手だ。ところがエタノールを含んだエサを食べた幼虫は、寄生されにくくなる。

 ボズラー氏らの研究は、こうした寄生バチに接触した”記憶”が子供世代にも受け継がれることを確認したものだ。

 まずショウジョウバエと寄生バチのメスを4日間一緒に飼育し、それからショウジョウバエの卵を回収。次いで卵を2つのグループ(寄生バチと飼育された卵とそうでない卵)に分け、成虫のショウジョウバエや寄生バチと接触させることなく、成虫になるまで育てた。

ショウジョウバエの親の記憶は子供に受け継がれる

 その結果、最初に寄生バチと一緒に飼育されたショウジョウバエのメスは、94パーセントがエタノールを含む食べ物に産卵し、さらにその子供たちも寄生バチと直接接触した経験がないというのに同様の行動を見せた。

 子世代の場合、エタノールを含む食品に産卵したのは73パーセントで、親世代ほどこの傾向が強かったわけではない。それでも、この傾向を徐々に薄めつつ、5世代はこうした行動が確認された。

 「エタノール選好性の継承が、恒久的な生殖細胞系列の変化ではなく、元に戻る性質であることがわかります」とボズラー氏は説明する。

記憶を伝える神経ペプチドF

 重要なのは、エタノール選好行動を促す決定的な要因の1つが特定されたことだ。

 それはショウジョウバエのメスの脳に埋め込まれている「神経ペプチドF」だ。メスが寄生バチと接触すると、視覚的なシグナルなどによって、神経ペプチドFが抑制される。すると、エタノール選好性が誘発されるのだ。

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Lorraine Cormier from Pixabay

 ダートマス大学医学部のジョバンニ・ボスコ氏によると、ショウジョウバエの生物学やエピジェネティクスだけでなく、生物の遺伝の基本的なメカニズムの理解をも進めてくれる発見だという。

 また薬物依存やアルコール中毒といった病気の患者の子供にも、同じような習慣ができてしまうことがあるが、こうしたケースで、親の経験がどのような役割を果たしているのか知見がえられるのではと期待しているそうだ。

References:elifesciences / phys/ written by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 30件

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  1. ねずみの実験で、恐怖体験が孫世代まで受け継がれるってあったな

    • +12
    1. >>1
      その実験の結果は、正確には「恐怖体験による行動の忌避が起きやすくなる」なので、恐怖体験そのものが受け継がれるわけではない。

      • +1
  2. なんかホルモン分泌して、周期早いからそのまま受け継いでるのかな
    電子的な保存じゃない気がするよね

    • +2
  3. この研究は、脳神経回路の記憶が遺伝するということじゃないので注意してね。
    記憶が遺伝するって結論もだいぶ誤解を招く表現。

    • +27
  4. 初めて田舎行った時、何故か懐かしい感じがしたのはそういうことなのかな

    • +3
  5. 情報不足やろこれ
    観察対象の子がエタノール食品か非エタノール食品に植え付けられた卵由来なんか書いていない

    寄生バチと接触した親が「エタノール食品に」産んだ卵から孵った
    寄生バチと接触していない子がエタノール食品を選んだなら
    自分が生まれた環境を選んだだけの可能性があるから
    寄生バチと接触していない親が「エタノール食品に」産んだ卵から孵った
    寄生バチと接触していない子がエタノール食品を選らばないのを確かめる必要がある

    寄生バチと接触した親が「エタノール(ではない)食品に」産んだ卵から孵った
    寄生バチと接触していない子がエタノール食品を選んだなら
    寄生バチと接触していない親が「エタノール(ではない)食品に」産んだ卵から孵った
    寄生バチと接触していない子がエタノール食品を選ぶ割合も書いてないと分からん

    • 評価
    1. ※5
      そこまで長文書いて責め立てるなら元の文章読めばいいのにw
      ソースへのリンクあるでしょw

      • +11
      1. ※11
        英語の論文読めないから言ってるねんけどな・・・
        和訳でも意味不明やし

        • -7
  6. 実験室育ちで猫を見たこともないネズミが猫のにおいで
    ネズミ「ギャアア!!」ってなるというあれ?

    • +1
  7. 只の本能をすり替える辺りは無垢なアメリカ人らしい。

    • -9
    1. ※7
      只の本能だよと早々に切り捨てて興味も抱かない人より
      本能を解き明かそうとする無垢な人の方が良いや

      • +8
  8. じゃあクローン人間は
    記憶を持ってるのかな?
    通常の生殖では相互の遺伝子が
    掛け合わされるから
    ある程度リセット
    されるのかもね

    • -5
  9. 1番簡単な方法はクローンで検証すればいいんだろうけど

    • -4
  10. 車に轢かれそうになった猫が生んだ子供は車に気を付けるようになるって昔読んだ本に書いてあったな

    • +3
  11. 道で繋がってるから継承されるんだよなぁ。

    • +1
  12. 遺伝子を発現させるスイッチが受け継がれるってこと?

    • +3
  13. これ神経が覚えてる記憶って意味じゃなく、エピジェネティックな部分での作用が影響するってだけじゃね?
    ぶっちゃけ当たり前じゃねぇのと思うんだけど?

    • +1
    1. ※19
      興味深い話だよね
      エピジェネティクスだろうけど、それが生まれでた環境によるものか
      親からの遺伝的情報によるものなのかは不明だ

      • 評価
  14. e Lifeってジャーナルは初めて見たけど、元論文長いな。データも大量だから読むのは骨が折れそうだけど、堅実な実験プロトコルだよ。英語苦手な人でもfigureを見ればある程度の実験系と結果がわかるね。

    • 評価
  15. 趣味や嗜好が遺伝した結果、それが行動に現れてるだけに見えるけど違うの?

    • 評価
  16. 虫は飛び上がるほど嫌いだけど、爬虫類は平気な人
    ぬらぬらの爬虫類は鳥肌モンだけど、虫は平気な人

    こういった「本能的にゾッとする」対象の個人差も
    もしかしたら、どの先祖の遺伝が顕れたか
    によるんだろうか?

    • 評価
  17. 見出しで想像した「記憶の継承」と違ったけど、実際にあって欲しいな記憶の引き継ぎ
    努力すれば努力するほど、経験を積めば積むほど生まれてくる子供が優秀になるとかだったら励みになるのに

    • 評価
    1. >>26
      その一方で「嫌な体験、辛い記憶が強ければ強いほど子も強いストレスを受け継ぐ」かもよ?

      • +1
  18. カッコウの托卵や雛蹴落としは本能だけではできないように思える。
    分子よりも小さな単位で生物を調べられれば面白い事がわかりそう。

    • 評価
  19. 変わるのがスイッチ部分だけにしても親の経験が子の遺伝子に影響するって事だよな。

    • 評価
  20. 昆虫がそうだからといって人間も同じとは限らない

    • 評価

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