この画像を大きなサイズで見る18世紀前後のイギリスでは、土地持ちの貴族や富裕層の間で、奇妙な習慣が流行った。
自宅の庭の装飾品として、ノームの像や鳥の水浴び用水盤といった無機物だけでは飽き足らず、生きている生身の人間を雇って、敷地内に建てた庵のようなものに住まわせるのだ。
雇われた者は、庭の置物のように据え置かれ、主人が来客をもてなすときはいつも、いかにも隠遁者然とした格好をして姿を現わすことを求められた。彼らは「庭園隠者(ガーデン・ハーミット」と言われている。
庭園隠者の求人募集
庭園隠者は、たいてい契約の一般的条件が明記される新聞広告を通して募集された。条件は、たいていは7年契約で、雇い主の邸宅がある敷地の庭に作られた狭い小屋や洞窟の中で質素に暮らすことが求められる。
髪を洗う、爪を切る、敷地の境界から外へ出る、使用人と話すことは禁じられる。食べ物、水、衣服、干し草で作った寝床、聖書、読書用メガネなどの基本的な品は与えられる。契約期間の最後に、再び働かなくても十分食べていくことができる数百ポンドの報酬が支払われる。
こうした条件を見ると、土地の所有者である雇い主は放浪者やホームレスからさぞかしありがたがられるに違いないと思うかも知れない。
この画像を大きなサイズで見る条件よさそうに見えるが、実際には孤独できついお仕事
だが、実際には庭園隠者の成り手を獲得するのはとても難しかった。孤独な生活を強いられる、清潔という意識を完全に捨てる、ということは、いくらただで食べ物や寝る場所を得られるといっても、かなり厳しいことだっただろう。
アバコーン伯爵の末息子で、高名なチャールズ・ハミルトン(1704~86)は、サリー州コブハム近くの私有地ペインズ・ホールにこの流行を取り入れるため、上記のような条件で新聞広告を出した。
最初に雇った庭園隠者は丸々3週間はおとなしくしていたが、こんな生活に嫌気がさしたのか、地元のパブで飲んでいるのが見つかった。
この画像を大きなサイズで見る浮浪者だけでなく様々な人が興味を持ちはじめる
庭園隠者募集の広告は、放浪者だけでなく、瞑想や内省、気晴らしの場を求める人の興味も引いた。
エキセントリックなイギリスの作家、フィリップ・シックネスは、自らの庭で庭園隠者として暮らした。回顧録の中でそのときのことを彼はこう書いている。
人間の欺瞞や、飽食気味の享楽のせいで、いくら富や偉大さといった立派な宮殿を中心とする舞台設定があっても、わざとらしい庇護や偽の隠者の住まいではっきり示さない限り、完璧とは決して考えられないものなのである
この画像を大きなサイズで見る聖職者が隠れ住むようになったことが流行の始まり
レスター大学のゴードン・キャンベル教授は、パオラの聖フランチェスコ(1416~1507)がこうした流行の始まりだったと指摘する。
彼は、自分の父親の所有地の洞窟で隠者として暮らした。のちにこうした行為はイギリスから、アイルランド、スコットランド、果てはその他のヨーロッパ諸国にも広まった。
ジョージ王朝時代でもっとも有名な隠者のひとりは、フランシス神父だ。シュロップシア州ホークストーン・パークの石壁、藁葺屋根の庵に住み、訪れる者に知恵を説いた。
これが評判になって、パークを所有していたヒル家は、ホークストーン・アームスというパブをつくり、あらゆる客に料理を提供した。
すべての地主が、フランシス神父のような隠者に恵まれたわけではない。多くは、隠者を見つけるのすら苦労した。
この画像を大きなサイズで見る新聞広告を出しても、なんの反応もない場合は、ダミーやオートメーション技術などの新しい方法を探し出す者もいた。
フランシス神父が亡くなると、ヒル家は生身の人間のかわりに自動で動く人形を設置して、動かしたりしゃべらせたりしたようだ。
庭園隠者の流行は、およそ200年あまり続き、18世紀にピークを迎えたが、19世紀に入るとついにすたれた。
References:Hermits As Garden Ornaments | Amusing Planet/ written by konohazuku / edited by parumo
















200年流行ったってすげーな
東洋:忍者の御庭番
西洋:隠者のお庭番
※3
隠者として配置されているのが実は凄腕のエージェントで
非常時にはスタイリッシュに変身し活躍…という設定の
大衆小説の1冊や2冊は出ていたかもしれないな
最強のコックばりに最強の隠者とか居そう
マジで何を言っているかわからねー。
本当の話か!?見てみたかった。
「聖書」 なるほど、最低限の必須項目に含まれるのか。
実際、身綺麗にしていて人前に出る時だけ付け爪やメイクで何とかなりそう。
これは面白い
知らなかったー
風呂入ったり爪切ったりくらいはいいんじゃね?と思うんだけど。
※7
というか、7年も爪を切らなかったら、
世界ビックリ大賞に出てくるような
うねうねした数十センチの長爪になりそうに思うが、
「刃物でスパッと切るのはNGだけど
岩や木板でガリガリ爪とぎするのはOK」とか
そんな感じだったんだろうか??
>>21
ワイ10年ほど爪切ってないが
菌や虫に食われた部分はないし短いままだぞ
癖で噛んでる
人間っておもしろ
ロスチャイルド「俺の庭には70億人住んでるけどな」
>>9
使用人は隠者じゃないぞ
※36使用人じゃないぞ 世界人口だぞ
闇
お金もらえて引きこもりが出来るなら、今の時期に募集したら応募が殺到するかもね。
>>11
よく見るんだ、衛星観念は捨てる上に今だとネット遮断だぞ。
聖書以外読むものなければ逃げ出す自信がある!!
>>42
年季奉公が明けた暁には助教授レベルの神学者にはなれそう。
キリスト教系大学にエントリーできそう
※11
でもせめて爪は切らせて
ネットのない時代で7年だからガチで辛い仕事
おもしろい
映画化しないかな
本物の隠者は箱庭なんて選ばなかったのかもね。
英国式庭園殺人事件という映画には彫像の代わりをする
人が雇われてて全身緑色の人が庭園に佇んでるんだよ
庭園に生きた人間を配置するという英国人の感性が
よく分からないよ…
ハナ肇かな?
独房に一定期間以上に入れると人間は発狂するっつーし、完全なる孤独って恐ろしいと思う。
図書と紙とインクだけは好きなだけ与えるって条件がついてたら
応募する人も続く人も多そうな気がする。
ひたすら思索にふける哲学者や詩人・作家なら喜ぶ待遇だと思う。
今だったら「匿名でのネットのみOK」にすれば数万人が押し寄せるだろうw
西洋の感覚はよくわからないから東洋風にアレンジして考えると、自分の領地に仙人とか竹林の七賢みたいな哲人が住まっている感じかな。たしかになんか箔がつきそう。
スーパー金持ちのやることはよくわからん。
庭の景観の一部として雇う感じなのかな
雇うと言うか…言葉が方アレだが飼うって言うか…
金持ちの道楽には違いないんだろうけどな
ちょっとやってみたい気持ちもある。
ただ退職金数百ポンドか。日本円換算で1ポンド130円とするととてもじゃないが暮らしていける額じゃないな。7年飼って貰えてその後一生遊んで暮らせるお金がもらえるんだったら喜んでやるのに。
※22
ヒント:18世紀の数百ポンド
てか、本文中に「再び働かなくても十分食べていくことができる数百ポンド」って解説してあるじゃん。
※22
18世紀の数百ポンドを今の値段で換算するのか?
※22
今の相場じゃなくて当時の相場で計算しないといけませんよ。
↓のサイトで紹介されてる相場で換算すると当時の1ポンドは6.5~8万円とのこと
ttps://spqr.sakura.ne.jp/wp/archives/827
仮に300ポンド貰えたとすると
2000万~2400万円程度だから結構な金額になる
>>22
物価が現代と違い過ぎるだろw
応募してきた時点で隠者じゃないもんな 隠れてないし
人間というか妖精かそれに近い者として一種の風景にしてるんだろう。常に自分の前で劇をさせてるようなものだ。馬鹿げてるし狂ってる。
汚いオッサンが庭にいたからって何なのか・・?海原雄山風に、「キサマわかってないな」ってノリで解説して欲しい。
隠者だって爪切るし髪も洗うと思うの
誰にも頼らない生活ならなおさら衛生面には気を使うと思うんだよね…
※29
ほんとそれ
東洋にも隠者の話は結構あるけど不潔じゃないよね
あと東洋感覚では他人の庭先に住んでる時点で隠者になってない
人里離れた山に住まないと完成しないしょ
ここまで東西で感覚が違うのって凄いな
面倒家辺りなら
庭に電気野菜のジャングルが出来て
野生児が生活してても気が付かないからな
※30 だっちゃねぇ
今の日本なら・・・と思ったけど引き籠りって通販やSNSでの生活基盤が前提だからなぁ
下手すると人知れず孤独死してガチの苔むしたオブジェになりそう
三畳くらいの質素な茶室で一緒に茶を飲む茶道の侘び寂びというのも、
根本は世捨て人ごっこだから、美意識の方向性は近い。
世捨て人役を他人にやらせるのはゲスだけどw
こっそり住んでた人は結構いそうだな
>>33
近所のちびっ子に変な嘘付いてもそれが
通じるのかな?(あいつペットだからとか)
昔々の中世ヨーロッパ辺りのお城では小人(小人症の人)を「飼う」ことがステータスとされていたとか
隠者も単に大金持ちの象徴として飼われていたのかもな
※34
喋るペット扱いはどうなんだ?と思うが
身体能力的に通常の成人と同等の労働力にはなりにくい
小人症の人が、話術なり芸を磨くなりして
主人の気を引いたりしたんだろうから
それはそれで歴とした仕事か
テーマパークにピエロや着ぐるみ等を配置するようなものだろう
見た目だけのパクりだし、ステレオタイプに囚われてるけど非難するほどでもない
道化を家に置いておくのが流行ってた時代もあるそうだね。
※40
王に侍る道化には役割があって、道化は非人間なので何やっても言ってもよかった
王が王道に外れたことをしているときに道化はそれを揶揄し笑いものにして
軌道修正させたんだよ
侍従がそんなことは言えなかった、口にしたらクビちょん切られちゃう
隠者=世俗に飽いた知識人というステレオタイプがないと分かりにくいな
「我が家にはそうした方が住んでおられるのですよ」というのが上流階級のステータスになって、後にニセ隠者で形だけマネするのが流行ってしばらく続いたという話
上にある王者が道化を飼って度量アピールするのにもちょっと通じるものがあるかも
まるで人が人を檻に入れる「動物園」じゃないか。
裕福層はホント暇なんだな。。
アクアリウム的なやつか
ウチの庭に
妖精🧚♀️🧚♂️🧝♀️🧝♂️が住んでたらいいなぁ~とか
そういう夢を金の力で叶える感じか
一瞬、植民地のインドから聖者連れてきたらいいんじゃ…と思ったけど、異教徒ではダメなんだよね、うん
ビンボーの部屋
稲中で井沢がホームレス飼いたがる話思い出したw
まぁ景色としてわからんでもない
でももう少し待遇をですね…
いいねぇ~、いかにも貴族の遊び、金持ちの道楽といった傲慢な感じ
大金かけて偽物の隠者を庭に飾って悦に入るという滑稽さがそれらしい
箱庭とかアクアリウムとかの気分なのかねぇ・・・
ようするに、庭園の「世界観作りのためのエキストラ」って事だよね。
一見わけわからんわとは思うけど、
俺らの価値観に寄せてよくよく考えてみれば、
日本庭園になんやわからんけど着物の爺さんがうろうろしてたらそれはそれで雰囲気でる気がしてくるやん?
別に爺さんに何の興味もないし、爺さんが何者かとかもどうでもいいし、興味があるのは庭園の方なんだけど、爺さん一人いるだけで庭園そのものの完成度が上がる気がする。
東洋にも、掛け軸なんかで南画とかを持つ趣味があるけれど、仙人とか世捨て人を所有したいという欲望があるんだな。
30歳を迎えた魔法使いじゃダメなのかなっ?
このお話とはちょっと違うけど、大地主さんの山に何十年も住んでる人を20年程前に見た事があるよ。他の荒れ放題の山と違ってその山は道も果樹園も綺麗に手入れされてて驚いた。言葉が不自由な人だったけど、山を手入れしてる時の顔は満足というか幸せそうな顔だったよ。
庭に住む隠者って海外小説に偶にしれっと出てきてたけどこういう事だったのね
当時の仕事で食事と一生食っていける退職金付きならかなりホワイトな方じゃないかな
自分は人と関わること好きじゃないし
上記条件でプラス風呂、ネット付きならむしろやってみたい
>>63
ネット付きとか甘えんな
ネット付きだと隠者じゃなくなるだろ
自分が地主なら「そこそこ清潔だけど見た目は隠者」を希望しちゃうかもしれないな…匂いとかで景観台無しになりそう
でもそれは今の価値観だからなのかな
そもそも今庭に他人を景観として住ませたい人いないものな
13世紀のハローワークという本の
隠修師の所にちょろっと載ってたような…
星新一の小説で読んだけど実際にやってた事なんやってビックリ
※71
え、そんなのあったっけ?
全作読んだつもりだったけど、覚えていないわ
このイラストの隠者は爪伸びてないよね
あと衣装がなぞ、つぎはぎなのかな?
他はなんとなくわかるけど不潔だけはやだわ
今の衛生観念に程遠いにしても爪切れないとか
7年か・・・現代の普通の仕事で50年働くのとどっちがいいかな。
大賢者的な奴を期待しながら結局はドワーフ的な奴になってそうだな
東洋や日本人の感覚で言ったら、差し詰め盆栽を箱庭に見立てて小ちゃい仙人のオブジェを置くような感じだろうね、箱庭の仙境ね
しかしリアルサイズでやっちゃうとは…!
要はテーマパークだね
どうせ庭に住まわせるなら清潔な美少女住まわせたい。
彼は、自分の父親の所有地の洞窟で隠者として暮らした。
ただのニートボンボンやないか
住み込みメイドの年間現金収入が2ポンド程度、4ポンドもらえりゃいい職場って時代に、
7年で数百ポンドなら大盤振る舞いなんだろうが……
ベースとして詩や絵画といった芸術家を住まわせ支援してたパトロンみたいな文化があるからじゃないかな。文化に対して金を出すというのは高貴で裕福な行いなのでパトロン行為自体がステータスになっていったみたいな。
隠者も見識を極め尽くした知識人の果てみたいな感じなのでそんな人が身を寄せている我が家は名家だぞ感が欲しかったのかな?しかし偽物であっても給料はちゃんとしてるんだからエライ。
>人間の欺瞞や、飽食気味の享楽のせいで、いくら富や偉大さといった立派な宮殿を中心とする舞台設定があっても、わざとらしい庇護や偽の隠者の住まいではっきり示さない限り、完璧とは決して考えられないものなのである
フィリップ・シックネスさんすごいな
確かに富が当たり前になってしまうと輝きが損なわれるよな
近くに貧しさがあってこその富だわ
そんな偽物隠者で箔が付くのかなあ
新聞広告打っている時点で周囲に偽物ってバレていると思うけど
白髪白髭豊かな清潔な仙人っぽい爺さんが庭園で一人で詰碁とかやってたりちょっとした菜園の世話してたり童子に牽かせた牛に乗って悠々散策してたりみたいなの考えるとなるほどいいなと思うが隠棲する賢人=不潔っていうイメージがぜんぜんわからん…
西洋の座敷わらしじゃねーか
酒を毎日貰ってペットと六畳程の菜園と敷地内に湖があり釣り竿与えられたら出来そうな気がする
夜は星を観察して書き留めるかな
ただ誰とも会話出来ないは辛いな
「にっ……人間の下種がこの野郎!」ってなった