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ネアンデルタール人の歯から抗生物質・鎮痛剤・ベジタリアン食の痕跡が発見される

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(著) (編集)

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 歯の表面には食べ物のカス・細菌・病原菌が付着し歯垢(しこう)となる。定期的に歯磨きをしないと、歯垢が石灰化して歯石となりそのまま残り続ける。

 一般人にとっては迷惑なだけの話だが、実は考古学者には歓迎されている。歯石は太古のDNAを探り、食生活・健康状態・ライフスタイルを探るツールとして利用できるのである。

 最近の研究で、ネアンデルタール人の歯石を調べたところ驚くべきことが判明した。彼らは天然の抗生物質や痛み止めを使用していた可能性があり、中にはベジタリアン的な食生活を送っていた者も存在するという。

ネアンデルタール人の歯石から当時の生活が明らかに

 最近、ベルギーのスピー洞窟とスペインのエルシドロン洞窟で発見された4体のネアンデルタール人の歯に付着していた歯石が調査された。

 知られているものの中では我々に最も近い人類であるネアンデルタール人は、現代人と多くの共通点があった。

 道具を作り、火を使った。体を装飾していたり、遺体を埋葬していたりした可能性もある。『ネイチャー(Nature)』に掲載された最新論文によると、彼らは痛み止めや天然の抗生物質を使用していた可能性があり、中にはベジタリアン的な食生活を送っていた者もいるという。

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自然に存在する抗生物質を治療に使用していた

 歯石のサンプルは42,000~50,000年前のもので、これまで遺伝子解析されたものとしては最古である。

 エルシドロン洞窟で発見された1体の顎骨には、歯の膿瘍が確認されている。彼にはさらに腸内寄生虫もいた。おそらく彼がポプラを食べていた理由はこれだろう。

 ポプラには鎮痛効果のあるサリチル酸(アスピリンの有効成分)が含まれている。さらに天然の抗生物質であるアオカビも口にしていた。

 以前の調査からは、シドロンのネアンデルタール人が収斂剤(しゅうれんざい)であるノコギリソウと天然の抗炎症剤であるカモミールを使用していたらしきことが判明している。

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ネアンデルタール人の歯

 ネアンデルタール人が薬草について豊かな知識を持っていたことは明らか、とオーストラリア、アデレード大学のアラン・クーパー(Alan Cooper)氏は述べている。

ペニシリンが開発される40,000年も前に抗生物質まで使用していたとは驚きです。よくある古代の人類についての単縦なイメージとは真逆の発見です

食べ物の変化による口内細菌の変化

 またネアンデルタール人の食生活における地域的な差異も明らかになっている。エルシドロン洞窟での食事は、キノコ・松の実・コケなど、主に植物で構成されていたのに対して、スピー洞窟のネアンデルタール人は、ケブカサイやヒツジなど、肉を多く食べていた。

 食生活の違いは、口内の細菌の違いと関連があるようだ。つまり肉食を行うことで、体内の細菌叢(さいきんそう)に変化が起きたことを示唆している。

 「口内細菌叢の違いは、人間の細菌叢の変化がどうのように始まったのか示しているために重要です」と筆頭著者のローラ・ウェイリック(Laura Weyrich)氏。

 「人間の細菌叢における歴史的な変化が、現代人の健康や変化した細菌叢に関連する問題の原因であろうことが知られています。私たちがどうやって今の細菌を手に入れたのか理解するには、過去におけるそうした変化を知る必要があります」

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細菌が人体にもたらす影響

 マックス・プランク研究所のクリスティナ・ワーリナー氏(Christina Warinner。研究には未参加)によると、これは旧人類の口内細菌生態系の初となる直接的な証拠だという。

 実際に研究者は、口内に生息していたメタノブレウィバクテル・オラリス(Methanobrevibacter oralis)のほぼ完全なゲノムを再構成することができた。48,000年前のそれは、今日における最古の微生物概要ゲノムである。

 ワーリナー氏の研究では、この属は過去では今よりも一般的であったことが一貫して示されている。人体内や表面には無数の細菌が生息しており、それが気分からアレルギーに至るまで、様々な事柄に影響を与えていることが徐々に明らかにされつつある。

 ワーリナー氏の意見では、メタノブレウィバクテルは大昔、今よりもずっと大きな役割を口内生態系において果たしていたのではないかという。

 が、今も昔も、その役割についてはほとんど分かっていない。人間に潜む細菌叢についての研究は、今ようやく触り程度に始まったばかりなのである。

via:naturementalflossなど/ written hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 38件

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  1. 文明って思っていたよりずっと昔から発達してたんだろうね

    • +12
  2. 手塚治虫の火の鳥で古代人がカビ飲ませてたの思い出した

    • +9
  3. 絶滅した(?)ネアンデルタール人は
    我々より劣っていたのだろうか?
    最近ドンドン疑わしい感じ
    言葉が喋れなかったなんて
    研究があるそうだけど
    抗生物質がわかってたと言う事は
    知識を伝える方法があったって事でしょ?
    脳だって今の人類より
    大きかったらしいしね

    • +12
    1. ※4と※6に共感する。
      そも数百年前の欧州諸国から日本への見方も、ほぼ知識0の状態での想像で、文明文化のない未開の国と定義付けていたが、実際来てみてビックリって感じだったわけで。
      恐竜についても、年を追うごとに変わっている。全て無毛だと思っていたのに、実は毛が生えていた種もいた!とか。
      確かに外的刺激によって、文明文化は変遷するが、想像力と向上心により、利便を求めて何かと独自の発展を遂げるもの。
      蚊に刺されても痛くないのは何でだろう?みたいな些細な疑問のような、少しの切っ掛けで大きな何かに発展する事もある。

      ヒトの歴史は何万年、ひょっとしたら見つかっていないだけで、数十万年の歴史があるかもしれない。
      その中には見つかっていないだけで、超高度文明があったかもしれない。
      自然災害等で淘汰された文明文化人種がいるかもしれない。
      これらの”かもしれない”を前提に、是非これからも研究を続けていって欲しいです。

      • 評価
  4. ネアンデルタール人はホモサピエンスより脳がデカかったからな

    • 評価
  5. 過去に現代のような高度文明が滅んでいる可能性はあるからね。だって人類数万年の歴史あるのに、日本は原始から現代までたった2千年でここまでこれた。世界を見ても産業革命から現代までたった200年くらい。人類は千年あれば技術革新はいっぱいできるのに、過去数万年間何やってたのさ?何万年もヤリもって獣追いかけていたとは思えない。

    • +8
    1. ※6
      外的要因による変化がなければずっと同じ状態が続いていくよ
      生命が誕生したのだって41億年前位と言われているのに、原核生物から真核生物(核とかミトコンドリアとかシアノバクテリアとか幾多の生物が共存する)、単細胞生物(←真核生物の)から多細胞生物へ、海から陸へ、ってもの凄くスパンに開きがあるんだよ
      スーパープルームだったり、隕石の衝突だったり、そこまでしなくともなんらかの変化があって初めて取捨選択される。その時の体にある遺伝子が状況に適応するものであるかどうかは運にもよる

      • +3
    2. ※6
      ヒンズー教やマヤ、アステカ文明では時代は金銀銅鉄の4つに分けられてて金の時代は技術水準も人類の人格、体躯、寿命は最高のレベルに素晴らしく、銀、銅と質が下がるにつれて「人の程度」が1/4ずつ下がっていくらしい。
      で、今俺らが生きてるのは「鉄」の時代。カリユガとも言われる史上最悪の時代らしい。現代人が世の中クソゲって言ってるけど、インド的世界観だと今は鉄の時代(4千年前)入ったばかりであと43万年くらいクソな時代が続くらしい。しかもどんどん「人間の程度」は退化していくみたい。今は科学が進歩してるけど、あくまで科学だけが進歩してるだけで人間自体はどんどん白痴してるよね。
      電車とか乗ってると大人も子供もみんなスマホ弄ってるね。あれ見て「コイツら末期やな…」って思うよ。

      • 評価
    3. ※6
      2000年の意味は分からないけど、日本でも数万年前から人は生活してて
      後期旧石器時代と区分されてるそうな
      岩宿遺跡とか

      • +6
    4. ※6
      野生種を栽培種に品種改良するのに相当時間が掛かった

      • +3
  6. 記事中の記載に40,000万年との記載があるけど、そこは4万年もしくは40,000年でいいのでは?

    • +1
  7. 人類の未来は未知数だけど、
    人類の過去もまた未知数。

    • +5
  8. 単に手近な植物食ってたからってベジタリアンは言い過ぎじゃね

    • +9
    1. ※11
      誤って低評価を押してしまった

      植生とかの差で違う物を食べたり、この時点ですでに集団間で文化的な違いがあったんだなぁ
      植物のことなら任せろ!な集団がいたかと思えば、獲物に気づかれにくくなった最新狩猟スタイルはこれだ!みたいな工夫してる奴らもきっといて…こういう妄想が楽しくなるな

      • +1
  9. 各宗教で「肉食うな」ってあるじゃん。肉食は禁ずる理由はそれぞれなんだろうけど、これもきっとあるよね。てか元々の理由はこれだと思う。「肉食うと(当時の屠殺技術)不衛生で食中毒や病気になりやすいから食うな」ってことでしょ。
    当時肉ばかり食ってた連中は病気になりやすかったり、歯の病気ばかりになって仕事に支障をきたすから 神が威光で病気予防してたんじゃね?

    • +3
    1. ※12
      植物質でも、でんぷん質をとってると虫歯になりやすいよ
      縄文人~弥生人の歯からは本州では虫歯がちょこちょこ見つかっているけど、
      稲作が定着しなかった北海道では全然見つかっていない
      虫歯の原因は歯に傷を負ったりした等のケガからなるものが多かった

      • +3
  10. 経験則ってヤツじゃないかな?むしろ昔の人をバカにしすぎてる気がするな、言葉がしゃべれなかったとしても知能は有るんだし、
    PCは出来無くても 風の匂いで明日の天気が判ったりしたんだろうな。

    • +9
  11. 唾液の、中には酵素もあるし、食物からも酵素は取れる
    酵素は天然の抗生物質だから、反応が出るのは当たり前じゃないのか?

    • +4
  12. サンプルの化石一家や、その住んでいた地域が、カビた食べ物でも躊躇無く食べなければならないような食糧事情「ではなかった」ということはどうやって証明してるんだろう? そこが示されてないと、単に現代人の生活に照らし合わせてこじつけてるようにしか見えないんだよね。抗生物質だけじゃなく、動物性食品の割合が少ない食生活にしても、肉を「食べなかった」のか「手に入らなかった」のかで意味が違ってくる。そういう因果関係まで歯石の分析だけからわかるもんなんだろうか。どちらも単に貧しい食糧事情ってだけで十分起こりうる気がする。

    • +4
  13. 結局、人間って大して進化してないんだよね。ただ、知識や技術の「積み重ね」の集大成が現代ってだけ。考えることはずーーーーーーーっと昔から、変わってないんだろうなあ。

    • 評価
  14. 歯並び綺麗過ぎ。ガタガタな私にはうらやましい。

    • +1
    1. ※21
      お金や時間がかかるけど矯正すれば綺麗な並びにすることはできるよ。

      • 評価
  15. 別に好きでベジタリアンしてた訳じゃねぇし!
    適当な狩り易い動物が手近に居なかっただけだし!
    入手し易い食べ物食べ続けただけですから!
    こう

    • +2
  16. ネアンデルタール人は絶滅したんじゃなくて宇宙に帰って行ったんだね

    • +3
  17. 薬草は知ってたかも知れないが、カビたものもやむなく食べてた説に私は1票。4万年前なら今よりずっと寒かった時代。今の私たちが想像するベルギーやスペインの風景じゃない、寒冷地。
    いくら現生人類ホモサピエンスより寒さに強く力持ちなネアンデルタールさんでも、獲物に恵まれなければ肉食えない。菜食肉食言う贅沢はネアンデルタールさんもホモサピエンスもまだできなかったはず。草でも実でも肉でも採れるものを分けあい、わずかな火では足りない冷える日には互いの体温を分けあい、必死に平均30年前後の人生を繋ぐ時代だった。これが万が一、栽培した植物の痕跡とかなら、世界がひっくり返る大発見だけど。
    ただ、薬草を利用できる程度の生活のゆとりと身内への思いやりがあったのかも、と思うと、なんだか胸がほんのり温かくなる。そして、薬草が必要だった彼らの苦しみには、つい現代の薬をあげたくなる。

    • 評価
  18. あと、ネアンデルタールさんたちは絶滅したと言いきれないよ。現生人類ホモサピエンスには、ネアンデルタールさんと混血したらしき痕跡がDNAに残っている。
    言葉による意志疎通は咽頭の位置から今は否定的だけれども、もしかしたら案外達者にハンドサインなんかを利用して、活発に意志疎通しあっていたのかもしれない。彼らが人口を減らした主因は、骨盤を診るにホモサピエンスより難産だったらしい、って話を読んでから、もとからネアンデルタールさんたちには少子傾向があったんじゃないか?ホモサピエンスに繁殖力で押し負けたんじゃないか?と個人的に疑ってる。

    • +2
  19. ネアンデルタール人は声帯の発達が弱かったから、あまり話せなかったという説を
    前に聞いたけど、こういう初歩の医療を行えたということは知識を蓄積する
    能力があったということ、つまり会話する能力があったということか。

    • 評価
  20. 寝編んでるタール人からまだ5万年。地球の年齢45億年。5万年って一瞬ですね。人類が何回か滅亡と再生を繰り返している可能性はありそうです。百万年でも発生から滅亡を10万年としても10回は繰り返し出来る事になる。

    • 評価
  21.  犬猫でも、体の調子が悪い時は草を食む事を本能で知っています。彼等原人も、動物達が植物や菌類を摂る事で体調回復した様子を見て、真似て食べたとしても何ら不思議では有りません。
     少なくとも原人達は、動物より知能は高かったでしょうから。

    • +2
  22. そういやなんで日本語だとたかだか数万年前のホモ科人類を原人表記するんだろう?専門用語とのブレが起きちゃってるのに。翻訳時に何があったんだろ。

    • 評価
  23. ポプラとノコギリソウで引っ掛かって思い出したんだけど、この薬草の使い方、中世ヨーロッパの治療と同じだ!
    確か、とある貴婦人のご遺体から回虫とポプラ服用の痕跡が見つかったし、収斂剤としてのノコギリソウ服用は修道院レシピに書き残されたのがあったはず!(本棚漁ったんだけど該当の本が行方不明……整頓しなきゃ)

    • +3
  24. ベジタリアンというよりは敗北者。
    野生の獣相手に追いかけたり狩りするのは難しい。
    必然的に植物の根や茎や実や肉食獣の食べ残しになる。
    道具を持つまでは。

    • 評価
  25. ベジタリアン云々は研究者の勝手な理想に基づくファンタジーにしか思えん

    • 評価
    1. ※38
      そこで細菌叢の出番ということなんだと思うよ

      • 評価

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