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緻密で精巧すぎて度肝と魂抜かれた!ツゲ材から作られた16世紀のミニチュア彫刻

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(著)

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 16世紀のヨーロッパで、当時の職人たちが腕によりをかけて仕上げた精密なミニチュア彫刻が話題になっている。

 これらは携帯可能な信仰用具で、作られていた期間はわずか30年間。現在135個しか見つかっていないという歴史的にも貴重な工芸品だ。

3D Animation: Last Judgement Prayer Bead

 一片のツゲ材からできているこの彫刻は、手のひらにおさまるほどのサイズでありながら非常に細かい細工が施されている。その素晴らしさゆえにこれまで個人の秘密のコレクションにされていたものもあり、多くの謎に包まれていた。

 だが、近年これらの品を所蔵していた美術館が本格的な調査に乗り出したことで、わずかながらもその内部の様子が明らかになり始めたという。

昔の職人が作った500年前の宗教用具

 動画はカナダのオンタリオ州立美術館がCTスキャンのデータで作った3Dアニメーションだ。この木彫りは上の半球が”最後の審判”、下の半球が”聖母戴冠”を表している。

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全体

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image credit:thisiscolossal

 この彫刻は上下2つの面を合わせると直径6cmほどの球となり持ち運びできた。こうした球体はPrayer Bead(直訳では祈りのビーズ)と呼ばれている。

“最後の審判”の彫刻部分は3つの世界が表現されている

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上層はキリストを中心とした”天国”

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中間層は”煉獄”で死後の人々が生前の行いの裁きを受ける

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最下層は”地獄”で、その中心には地獄の門を守る悪魔が控えている

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その悪魔の口の中にはおよそ4mmの小さな像が彫られている

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 これらの彫刻は一つのツゲの木片から作られており、1500年~1530年のわずかな期間、当時商業が盛んで経済的にも繁栄していたフランドル地域またはオランダで作られたものだと考えられている。その時期は新たな商人社会階級の台頭に伴い、こうした高級な宗教用具の需要が高まっていた。

 しかし、まもなく起きた宗教改革で多くの教会関係の装飾品は時代遅れになり、ロザリオや祭壇として祈りを捧げられていたこれらの小さな彫刻たちもまた廃れていったのだ。

草の種よりも小さなピンが見つかる

 また、オンタリオ州立美術館は2012年に、CTスキャンと新型の3D解析ソフトでこの彫刻の内部の複雑な構造を調べている。すると複数のパーツから成っていることや、その接続部分は顕微鏡やX線でしか検出できないほど完全に隠されていたことが判明したという。

 さらに驚くべきことにそのパーツには草の種よりも小さなピンが入っていることや、金などで装飾されていたこともわかった。一方でその装飾の痕跡が障害となりX線画像が不鮮明になるなどの問題もあり、制作過程の大半は今も謎のままだという。当時の調査の様子がこちらだ。

Miniature Boxwood Carving: Art Gallery of Ontario staff unlock a 500-year mystery.

様々な形状の彫刻

 なお、これらの木彫りにはいくつかの形がある。下の彫刻は11個の木製ビーズから成るチャッツワース・ロザリオ(1509年~1526年)の一つ。イングランド王ヘンリー8世とその妻キャサリン・オブ・アラゴンの持ち物だった。

1.

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image credit:Ian Lefebvre

 その他の彫刻も肉眼では確認できないほど細かい細工が施されているという。どのように作られたかは未だに不明な部分が多いが、旋盤で作られたと考えられている。

2.

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image credit:Craig Boyko

3. 

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image credit:boredpanda

4. 上の彫刻を閉じたところ。外側にも美しい彫刻が施されている

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image credit:boredpanda

5. スカル型のものもある。開くと下のような彫刻が現れる

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image credit:Ian Lefebvre

6 エルサレムに入るキリスト(上)と十字架を運んでいるキリスト(下)の場面が彫られている

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image credit:Craig Boyko

7. 展開の形も数種あるようだ

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image credit:boredpanda

8. 祭壇型

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image credit:boredpanda

9.

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image credit:boredpanda
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image credit:boredpanda

 これらの小さな彫刻はアムステルダム国立美術館の公式サイトでも紹介されている。

via:boredpandathisiscolossal・written D/ edited by parumo

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この記事へのコメント 48件

コメントを書く

  1. 一般庶民には、お目にかかることも無いんじゃない

    • +3
  2. 携帯可能と言われても
    うっかり転んだりしたら衝撃で壊れそうで
    怖くて持ち歩けない

    • +20
  3. ワンダフォー&ビューテフォー

    …出来ればレプリカ欲しいw

    • +16
  4. 製造された期間が30年間、135個前後の数なら、
    これは一人の職人の「仕事」かね?
    超絶技巧すぎて継承もできずに終わったのだろうか?

    • +49
  5. 凄すぎる…
    自分は不器用だから、こういう細かい作業の積み重ねを見せられると気が狂いそうになる。
    故宮博物院の雕象牙透花雲龍紋套球を思い出した。

    • +12
  6. 16世紀のヨーロッパ・・・ひょっとすると、捕まえた小人に作らせていたのでは?

    • +14
  7. えらいリアルなスカルにちとビビったがな
    裏も表も妥協しない作りに製作者の執念を感じるな。

    • +14
  8. 廃れたと言うよりも 造れる職人が居なくなったような気がするけど、造った人は解っているのかな?

    • +12
  9. 技術もさることながら、ここまで精巧に造れたのはまさに
    「偉大なる信仰の力」だったのかも知れませんね。
    いくら技術が有ったとしても、これだけの物を製作するには相当な根気と精神力も必要だったろうし、何よりも医療や天候を信仰に頼らざるを得なかった当時の、今では信じられないくらいの「信仰心」が有ったからこそ造れたんだと思う。

    • +12
    1. ※11
      いや、ただの模型(立体)好きなオッサンだろ。仕事が趣味で、趣味が仕事でっていうクリエイター最強のパターンだよ。
      「作る」という行為自体が楽しすぎてもう自分でもわけのわからんくらい細かい作りこみになってる。

      イラストレーターでも無神論者で宗教とか全く興味ないのに神社仏閣、神仏、天使、幻獣を超美麗で異常に細かいディティールで描く変態絵師とか結構いるよ。 モチーフ自体は何でもよくて、描くの好きで熱中して気が付いてこんなん出来ましたパターンだよ。

      • +7
    2. ※11
      いや、趣味だけじゃ作れないと思うけどな(当時の宗教と芸術の関係からも、金銭的にも)
      この時代だと宗教的感情がこういった作品作りには不可欠の存在だと思うよ
      お金に困ってなくて好きなように宗教作品を描いていたヒエロニムス・ボスも、肉体美追求のように思えるミケランジェロも。  こと、この記事の作品のようなものは

      • +2
  10. 日本だとだんじりの彫刻がすごいことになってるよ

    • +2
  11. なんだかんだ言ってもやっぱり欧州の文化ってすげぇわ

    • +4
  12. キリスト「でも俺の信者ってめっちゃ戦争するし 
         凶暴やし俺の教えを全然理解してへんよな。」

    • +14
    1. ※14
      金儲けの材料にしたり権力者の都合の良い解釈をされたり散々だわ、って嘆いてそうだよね。

      • +6
  13. 日本にも江戸時代に精密な身につける芸術、根付があるよ
    形式としては「蜃気楼根付」「蛤牙彫根付」なんかと雰囲気が似てるね

    • +11
  14. 「精密自動旋盤なら日産百個いけます!」
    とか言われそうで怖い。

    • 評価
  15. 手との対比でビビったw
    細かい部分をポキッとしてしまいそうで自分は触れられない
    制作者、手先も器用だけどめちゃくちゃ視力いいな

    • +4
  16. ツゲ材なら日本の根付でも定番材料だね。これより時代は下がるがなかなかひけを取らない名品が多いよ。

    • +1
  17. 模型趣味の私から言わせてもらうと、これ作った人はわりと超ノリノリで楽しんで作ってると思うよ。いや、もう断言できる。これは作ってて絶対楽しい。
    深みにハマりすぎて異常に凝った変態チックな造形物が出来ちゃうのは模型あるある。

    • +16
  18. この手の超絶技巧は世界的に無名の職人の手に成るものが多いのかな?
    日本でなら牙彫の安藤緑山の超絶技巧が有名だけど、弟子不在ゆえに今じゃロストテクノロジーだし、挙句に顔写真の一枚すら残っていないなる事実・・・昭和の人間なのにさ(苦笑
    つくづく市井の職人の凄みを感じるわ。

    • +5
  19. どこからも見えない個所に隠し彫りがありそう

    • +5
  20. 時代の枠を超えた天才は何時の時代でもいるものなんだな・・・

    • +2
  21. 当時は質の良い拡大鏡とかないだろうし
    こんな精巧で細やかな作業だと、晩年はほとんど視力失ってたんじゃなかろうか?

    • +2
  22. ツゲは森のダイヤって言われるくらい硬いらしい
    そんな材質にここまで精巧な彫刻を施す中世の職人の技に舌を巻くわ。

    • +5
  23. 同じようなものなら日本では香合仏があるけどこちらの方がはるかに精緻だねえ

    • +2
  24. いつの時代もこういう職人っているんだね

    • +2
  25. 小狐コンコン 山の中 山の中♪
    草の実 つぶして お化粧したりもみじの かんざし つげのくし ♪

    で出てくるツゲ

    • +2
  26. この彫刻を彫ること自体が瞑想や修行になっているのかね、3次元版の写経みたいな。

    • +2
  27. 圧巻

    ほぼ同時代のフランドル絵画も異常なレベルで細かいし、
    そういう文化的な素養があったんかねえ

    • +2
  28. 中国だったら、こんなのが沢山あった気がする。文革でどうなったかは知らんけどね。大体これ、ベースは中国の象牙彫刻とかだろ。

    • -3
    1. ※40
      象牙多層球だっけ、あれをみたとき(映像だけど)の衝撃はすごかった

      • +2
  29. 紫禁城から財宝をパクってきた台湾にある博物館の象牙の彫刻を思い出した。

    • -6
    1. ※41
      あれはパクったんじゃなくて、日清戦争の時日本軍に攻め込まれて大切な国宝を接収されないために当時の学芸員たちが必死の思いで大量の国宝を少しでも日本軍の手の届かないように、南のほうに南ほうにって退避させたんじゃなかたっけ?で、そのあと中国と台湾に国が2つに割れたんで、台湾にはそのまま中国から退避させられた国宝級の美術品が大量にあるってのが実際のところだろ。てかパクるって、それ命がけで国の宝を敵軍から守った当時の学芸員(兵隊でもない一般人)の人たちに失礼だろ。

      • +7
  30. 最初の彫刻は地球内部世界を表現したものだね。
    ソースはムー

    • 評価
  31. 以前ツゲなどの木材に彫刻する仕事してた者だけど、ここまで細かい彫りができるのは技術はもちろんの事、木目の細かな素晴らしいツゲ材と良い彫刻道具がないとできないね。
    これほど細かいとちょっと切れなくなった彫刻刀当てるだけでバリッと木目から欠けたりするから、ひと彫りしては砥いでをくりかえしてたかもしれない。
    こういうのが好きな人は根付なんかも好きかもしれないね。

    • +5
  32. 3Dプリンタで作れんかな
    中身はアニメキャラで

    • 評価
  33. 根付がオモチャに見えるほどの精巧さ

    • 評価

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