考古学ミステリー、謎めいた10の隠し文書

2017年01月11日 ι コメント(15) ι 知る ι 歴史・文化 ι 投稿者:パルモ ι #

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 考古学的記録には過去からの隠されたメッセージが満ちている。簡単に分かる場所に隠されている場合もあれば、記念碑の下に埋められていたり、その痕跡が裸眼ではほとんど視認できないような場合もある。

 最近ではX線、CTスキャン、マルチスペクトル撮像、ロボットといった最新技術によって、失われていた記録に光が当てられている。

 ここではミステリアスな10の隠し文書を見ていくことにしよう。
 
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10. セルデン写本


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 ほぼ500年近くも石膏と白亜の層に埋もれていた、植民地時代以前のメキシコの写本である。ゲッソという石膏のような物質で覆われた革紐で作られている。2016年、ハイパースペクトル撮像によって、ミステク語で書かれた写本の内部を覗くことに成功。隠された文字と図象が明らかにされた。

 調査は現在も実施中であり、調査チームは完了するまで隠された文章についてのコメントは控えるつもりでいるようだ。だが明らかとなった内容は素晴らしい。新しい文字が浮かび上がったのである。隠されていたメッセージは、写本表面の下から上に向かう書き順とは異なり、ページの横方向に書かれている。今後さらに多くの発見があるだろうと期待されている。


9. リンカーンの時計の隠しメッセージ


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 1861年4月13日、アイルランド系移民で時計職人のジョナサン・ディロンは、エイブラハム・リンカーンの懐中時計にメーセージを彫り込んだ。ワシントンの宝石会社に勤めていたディロンが大統領の時計の修理を行ったのは、南北戦争の発端となった南部連合軍によるサムター要塞攻撃開始の日であった。そのメッセージが明らかになったのは2009年のことだ。

 そこにはこうあった。「最初の砲火が放たれた。奴隷制の終焉だ。少なくともそれに挑んだ大統領がいたことを神に感謝しよう」。ディロンは大統領と面識がない。また大統領自身も彼のメッセージなど知らなかった。

 1850年代、リンカーンはイリノイ州の宝石商から金時計を購入した。彼は着飾ることを慎んでいたが、金時計は法律家としてのキャリアの証だった。1958年、金時計はリンカーンのひ孫によってスミソニアン博物館に寄付された。


8. 銀の巻物に記された魔法の呪文


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 2014年、ヨルダン、ジャラシュの発掘調査で小さなお守りが発見された。ここはギリシャ、ローマ、アラブと支配者が変わった地で、749年に地震で大きな被害を受けている。お守りは5センチほどの銀の巻物だ。表面の腐食によって、丁寧に巻かれた銀板は厚み0.01センチに痩せている。これを研磨した結果、何か記載されていることが判明したが、広げて内容を確認するには脆過ぎた。

 2015年、CTスキャンによる調査から、各5文字でなる17行の文が確認された。最初の行はギリシャ語の綴りを含んでいたが、それ以外の行はまったく解読されていない。専門家は”偽アラビア語”ではないかと睨んでいる。当時、密かに魔法の呪文を記すことが一般的だったという。識字率の低さを考えれば、意味をなさない文字でも呪文のように見えたことだろう。


7. ノヴゴロド写本


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 2000年、ロシア、ノヴゴロドの調査から、既知のものとしてはロシア人が記した最古の本が発見された。ノヴゴロド写本は3枚のロウで塗られた木板であり、数多くの記述が隠されていたパリンプセスト(書かれた文字を消し、別の内容を上書きした羊皮紙の写本)である。11世紀のもので、キリル文字で二つの詩編が記されている。保存のためにロウを除去すると、木板にその前の文書の跡が残っていることが明らかとなった。その中にはそれまで知られていなかったネイティブのスラブ語もある。

 こうした隠し文書の再現は困難である。文字の痕跡は、板のひび割れや歪みなどのために判別できないものが多いからだ。さらに繰り返し再利用された写本であることから、隠されていた記述の上に別の文字の層ができてしまっている。こうしたパリンプセストは初めてであり、解読するための標準的な技法も確立されていない。ノヴゴロド写本には数十どころか下手をすると百層もの文字層が残っているのだ。


6. ムッソリーニが記した未来へのメッセージ


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 2016年、ローマに建てられているムッソリーニのオベリスクの下にあったメッセージが再現された。ファシズムが権力を握るに至った経緯やムッソリーニの功績が記載された羊皮紙は、1932年のオベリスク建立時に埋められた。フォリ・ムッソリーニ写本(Codex Fori Mussolini)の上にはいまだ300トンの記念日が立っているが、専門家はローマ近辺の図書館にあった三つの資料から内容を再現した。

 それは遠い未来の人々へ向けられたものだという。3部からなる1,200文字の賛辞で、ムッソリーニをローマの新たなる皇帝と記している。羊皮紙と一緒に、ライオンの皮をまとったムッソリーニを描いたメダルも埋められていた。ファシズムの台頭とローマ皇帝とのつながりを持たせるためにラテン語が採用されている。皮肉にも、羊皮紙を取り出すにはオベリスクを倒すしかない……まるでファシズムの没落を象徴するかのように。


5. ザキントス写本(Codex Zacynthius)


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 1861年、ザキントス写本から隠された文字が発見された。写本はパリンプセストであり、元々は7世紀の人々がルカによる福音書について説明したものだった。13世紀に当初の内容は消され、福音書朗読書に書き換えられた。

 ザキントス写本の成立は、ギリシャ語訳新約聖書に結実する新約聖書の発展以前に遡る。その名は発見地であるギリシャのザキントス島に因む。1984年からケンブリッジ大学の研究者が調査を続けており、2014年に110万ポンド(約1億5,000万円)でこれを購入した。目的はマルチスペクトラル解析で隠された文章を読み解くことだ。176枚の羊皮紙でなる写本には数多くの秘密が隠されていると期待されている。



4. ロボット冒険家


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 2011年、ロボットの”ジェディ(Djedi)”でギザの大ピラミッドの調査を行っていたチームが、4,500年前のメッセージを発見した。このメッセージは、大ピラミッドの”シャフト”と呼ばれる通気口らしきものの謎を解き明かすヒントになると考えられている。王の間から外部につながる2本のシャフトが最初に発見されたのは1872年のことだ。その後、女王の間にも発見されるが、これはピラミッドの奥へと消えていた。

 1993年にロボットによる調査が行われ、それから9年後に新たに南側のシャフトが調べられた。どちらの調査も銅のピンで留められた謎めいた厚板に辿り着いただけで終わっている。最新の調査では、厚板に小さな穴を開け、マイクロ蛇型カメラで中を覗き込んだのだった。


3. 隠されたエウリピデス


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 13世紀に書かれた旧約聖書の予言書の下から紀元前5世紀のギリシャの演劇が発見された。作品はエウリピデスのものである。エウリピデスは古代アテネ三大悲劇詩人の1人で、92作品を記したが、現存するのは19作品のみだ。彼の作品はヘレニズム期において教育の基礎とされたもので、現代の演劇にも大きな影響を与えている。

 パリンプセストであり、作品は消されて別の文章が上書きされていたが、2013年にマルチスペクトラル撮像で調査を行なった結果発見された。写本にはエウリピデスの作品だけでなく、古代の注釈も大量に記載されている。写本は現在エルサレムのギリシャ正教会の図書館に所蔵され、未知のギリシャ文字を含むこの写本の決定版を編集するプロジェクトが進められている。


2. 2,000年前のユダヤ人の落書き


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 2015年、エルサレムで建設作業員によって第二神殿期の古代の落書きが発見された。ミクワーという儀式的な沐浴を描いたもので、学校の下にあった洞窟に描かれていた。文字はこの時期のものとしては珍しくアラム語である。落書きのメッセージは泥と灰で書かれていた。

 内容の読解はきわめて難しい。名前とする説もあり、”Cohen”という人の名と仕えるを意味する”avad”という単語が読めると指摘されている。そうした文字以外にも、木、ボート、大燭台と思わしきものなど、いくつもの絵が描かれている。ミクワーはユダヤ文化にとって重要なもので、伝統によると、水を使う前に人の手で触れてはならず、水も泉や雨などから得た天然のものを使わねばならなかった。


1. 隠された中世の文献


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 15世紀に活版印刷技術が発明されると、手書きの写本は廃れるようになった。それまでの写本は製本のためにリサイクルされ、よりスタイリッシュな印刷本の背表紙やカバーを補強するためにも使用された。最近ではマクロX線蛍光分光分析法の登場によって、本を壊すことなく中世の文章の断片を窺うことが可能になっている。しかも文章はただ見えるだけでなく、判読可能なのだ。

 発見された文の断片の多くは14〜15世紀のものだ。しかし9世紀以前の中世の聖書やカロリング朝の文献も見つかるのではないかと期待されている。これまで発見された中で最も古いものは12世紀のものだ。そこには8世紀の学者であり修道士であったベーダの初期作品からの引用が記載されていた。中には、まとまって残されていたために、写本3ページ分を再現できるようなものもある。
via:10 Mysterious Hidden Texts
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コメント

1

1. 匿名処理班

  • 2017年01月11日 21:12
  • ID:rIfJ9ltE0 #

(やっべ、あんなの残っちゃったよ・・・読まれたくねえよ・・・)

2

2. 匿名処理班

  • 2017年01月11日 21:34
  • ID:g9djj2is0 #

大好物です。自分の本棚に並べたい!

3

3. 匿名処理班

  • 2017年01月11日 22:31
  • ID:gS8EQeGz0 #

古文書ってわくわくするわ〜

4

4. 匿名処理班

  • 2017年01月11日 22:36
  • ID:ed45jsPw0 #

数千年後にはお前らの黒歴史ノートも変な拡大解釈されて研究されてるかもな。

5

5. 匿名処理班

  • 2017年01月11日 23:00
  • ID:RMIdVcj10 #

羊皮紙は高価だったから表面を削り直して再利用するケースも
あったみたいだから、3みたいに現在の技術で再度調査したら
文章の下にある文字が見えるってのは結構あるかも。

6

6. 匿名処理班

  • 2017年01月11日 23:22
  • ID:tj2IbAKP0 #

まだこっちの方がミステリアスだな

7

7. 匿名処理班

  • 2017年01月12日 00:30
  • ID:b84ZqI3z0 #

インカ帝国ではキープ(結縄)、つまり色の付いた縄の結び方が官僚の使う書き文字の代わりになっていたが
セルデン写本とやらに書き記されている様々な色の玉はまさしくそれを紙に書き写したものだろうな
今迄ではキープはパーシャル・スクリプト(アラビア数字のように限られた目的の為だけに用いられる言語)だと思われていたが、この文書が本物ならインカ帝国の歴史は大きく書き換えられるかもしれない
キープは残っているが読み解ける人が居ない現状、もし現代のシャンポリオンが現れればこの写本を通じて既存のキープすら読み解ける可能性が出てくる

8

8. 匿名処理班

  • 2017年01月12日 01:13
  • ID:EGZnMC.P0 #

活版印刷技術が16世紀に既に存在していたことに何よりも驚いた

9

9.

  • 2017年01月12日 04:24
  • ID:TNyFcK3f0 #
10

10. 匿名処理班

  • 2017年01月12日 04:29
  • ID:Q7Xx0PuK0 #

本は便利だけど 火や水に弱いからね、死海文書は有名過ぎて紹介されないのかな?

11

11. 匿名処理班

  • 2017年01月12日 07:47
  • ID:KP.8kpW90 #

当時の羊皮紙のつけるインクって今と違い入れ墨に近い
もので長期にわたって残るのだろうな
その分記録するほうは失敗許されないのに、よく簡単に
流用したと思うと書いた人がかわいそうな気もする

12

12.

  • 2017年01月12日 09:28
  • ID:qxVMxa640 #
13

13. 匿名処理班

  • 2017年01月12日 10:40
  • ID:CAr03LAi0 #

セルデン写本かわいい(ジャガーの毛皮被ってるのとか)wインカ文字もかわいかった
ネイティブスラブ語とか2000年前のユダヤ人の落書きとか、古代の事が明らかになっていく(かもしれない)のは高揚する

14

14. 匿名処理班

  • 2017年01月12日 19:24
  • ID:RhuvNxA.0 #

「ぱよぱよちーん」とかも1000年も経てば、古代人の神秘的なメッセージ扱いだろう

15

15. 匿名処理班

  • 2017年01月12日 22:02
  • ID:rFC4.5h.0 #

ニコラスケイジの出番だ

16

16. 匿名処理班

  • 2017年01月12日 23:45
  • ID:d6cUISUW0 #

※4
ポンペイの壁のラクガキだって、
ラクガキはラクガキだと認識されている……
つまり黒歴史は黒歴史のまま残ってしまうと言うことだ……
絶対に始末しろ!
太宰治のラクガキみたいに晒されるぞ!

17

17. 匿名処理班

  • 2017年01月12日 23:47
  • ID:d6cUISUW0 #

※8
活版印刷って、11世紀の中国ですでに開発されてんだよね。
グーテンベルグの発明は、何らかのルートで中国の技術を輸入したものだろうという説が
今のところ有力

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