メインコンテンツにスキップ

地球の生命は月に守られていた?かつて月には強力な磁場があった(NASA)

記事の本文にスキップ

21件のコメントを見る

(著) (編集)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
月は強力な磁場で地球の生命を守っていた可能性 / Pixabay
Advertisement

 1959年1月4日、ソ連の月探査機「ルナ1号」によって、史上初めて月の磁場が計測された。こうして月の磁場は地球のわずか10000分の1とごく微弱なものであることが判明した。

 しかし、その後にアポロ12号が持ち帰った月の岩石の研究からは、じつは月にはかつて強力な磁場が存在していたらしいことが明らかになっている。

 『Science Advances』(10月14日付)に掲載された研究によれば、地球上に誕生した生命は、40億年前はその月の磁場によって守られていたのかもしれないそうだ。

 「月には分厚いバリアがあり、それが太陽風から地球を守ってくれたおかげで、地球は大気を維持できたようです」と、主執筆者のジェームズ・グリーン氏はNASAのブログで語っている。

生命を守る磁場の存在

 地球をおおう磁場は、太陽風(太陽が放出する放射線)から大気を守るバリアとして作用しており、ありとあらゆる生物にとって欠かせないものだ。

 磁場は地球内部にある溶けた鉄が流れることで発生していると考えられている。液体の鉄をいつまでも動かし続けているのは、コアに溜まっている熱などのエネルギーだ。そのために、そうしたエネルギーが消えてしまえば、磁場も消えることになる。

 すると太陽風によって電荷を帯びた粒子を吹き付けられた地球では電場が発生する。これが電荷を帯びた原子を加速させるために、大気が吹き飛ばされてしまう。

 かつて月に存在した磁場が失われてしまったのは、月が地球よりも小さく、内部が速く冷えてしまったからだ。結果、そこにあった大気も失われた。また同じことが現在、火星で起きており、そのために火星からは酸素が失われ続けている。

この画像を大きなサイズで見る
地球の現在の磁力線 image by:NASA

月の磁場が地球を守っていた可能性

 NASAをはじめとする研究グループは、およそ40億年前に地球と月の磁場が互いに影響を与えていた可能性を検証するために、当時の磁場の挙動をシミュレーションしてみることにした。

 すると月の磁場がバリアとなって、地球の大気を太陽風から守っていたらしいことが明らかとなったという。

 原始の地球に火星くらいの大きさの惑星が衝突し、これによって生じた破片が月になった。これは月の起源に関するもっとも有力な説で「ジャイアント・インパクト仮説」という(関連記事)。

 シミュレーションによれば、地球から誕生した月は、40億年前は今よりもずっと地球の近くにあり、そのために両者の極地の磁場はまだつがなっていたようだ。

 このことは地球の生命の進化にとって決定的に重要だった。月と地球の重なり合った磁場のおかげで、強烈な太陽風にさらされても地球の大気は吹き飛ばされずに済んだのだ。

この画像を大きなサイズで見る
40億年前の月の磁場 image by:NASA

地球と月で物質の交換

 面白いことに、地球と月の磁気圏は物質をも交換していたと考えられるという。太陽の紫外線は地球大気に含まれる中性粒子から電子をはぎとり、そこに電荷を与えることで、月へといたる磁場のラインに沿って移動させていたようだ。

 このおかげで、当時の月は薄い大気を維持することができた。あり得ない話に思えるが、月の岩石から窒素が発見されていることからも(地球の大気は当時から主に窒素で構成されていた)、地球から月へと物質が送られていたという説はそれほど突飛なものではないという。

この画像を大きなサイズで見る
数十年前の地球と月の磁場は重なり合っていた image by:NASA

そして今、丸裸となった月

 月の磁場は、かつて存在したかもしれない大気についてだけでなく、その内部の進化についても知る手がかりとなる。

 月と地球の磁場が重なり合っていたのは、41億~35億年前のことだと推測されている。このとき月の内部にはまだ鉄が液体と固体が混ざった状態で存在していた。40億年ほど前、おそらく月の磁場は地球よりも強かったようだ。

 しかし内部が冷えるにつれて磁場は徐々に衰え、32億年前にはほぼ消失。15億年前には完全に死に絶えてしまった。磁場がなければ、大気は太陽風に耐えられない。今私たちが目にしている月は、そうして丸裸になった姿であるようだ。

References:nasa / conversation/ written by hiroching / edited by parumo

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 21件

コメントを書く

  1. う~む、こういったことを知れば知るほど、地球上に誕生した生命がその後地道に発展し、現在の我々にまで至ったということは、奇跡中の奇跡であると思われてきますねえ…

    …だから、知的エイリアンって、宇宙には思ったほど存在しないんですよ、残念だけど。

    • +2
    1. >>1
      せめて地球には知的生命が発生してほしいですよね

      • +2
  2. そうか
    そうだったのか……。
    君が守ってくれてたんだね
    ありがとう、月

    • +6
  3. 月も、木星&土星の二つの大型惑星の存在もまた幸運
    大型惑星が三つあると軌道の関係で地球は太陽に落ちる
    木星がないと、隕石群が地球の方へ降り注ぐ

    • +5
  4. 月の表面を見ると分かるけど、あり得ない程のクレーターがある(大気が無いので風化しないので残ってる)。あれは月が地球の盾になってくれて受け止めてくれた跡だけど、地場だけじゃなく、月その物が無かったら人類が存在出来たかどうかも怪しい。

    • +3
  5. 数値計算によると、地球に火星サイズの天体1個が衝突して月は形成されたとするシナリオでは、月の成分の5分の1は地球に由来し、残る5分の4は衝突した天体に由来することになる。しかしながら、実際には地球と月の成分構成(例えば酸素同位体比)がほぼ同一であることから、ジャイアント・インパクト仮説には物質科学的な問題点も存在している。

    Wikipediaより。

    • +1
  6. 星団と星団の間くらいに行けば反重力物質が見つかると思う

    • 評価
  7. じゃあ金星は?
    地球よりも遙かに太陽に近く強力な太陽風に晒されている。
    しかも月すら無いのに地球の90倍の気圧を維持してるぞ。

    • +2
    1. ※7
      ほいよ
      ttps://ja.wikipedia.org/wiki/金星#物理学的性質

      • +2
    2. >>7
      金星は過去の大気が吹き飛んでいるよ。
      勿論、今も尚その大気は減少している

      • 評価
  8. 月は地球の地軸を安定させる事で今も地球を守っているんだよね。地軸のブレが大きいと環境変化も派手になる。潮の満ち引きも生命の進化に不可欠だった。

    • +4
  9. 俺等は生きてるだけでラッキーな訳だ。これ地球が冷えて大気やばめの時に人類残ってたとしたら、絶望感半端ないな。見てみたい気もするが

    • +1
    1. ※10
      月が地球から離れてどこかへいってしまうのは今から10億年後
      でもその頃には太陽の膨張(赤色巨星化)は始まっていて、
      (今から8億年後には)多細胞生物はもう絶滅してるみたい

      • +1
      1. >>14
        てことは、月は太陽系から脱出するノアの箱船だった?

        • 評価
  10. 月の磁場が現在まで健在だったら地球はどうなっていたんだろうか

    • 評価
  11. 生きた惑星のコア付近では超高圧高温になり物質が超電導磁石の役割を果たして惑星規模の超強力な磁場を発生させる。
    そのおかげで地球も今磁気圏に守られているわけだけど、今よりずっと昔の、それこそ月と地球の役割が反転していた時期の様な、月が活発で地球が今より穏やかだった時、月の磁場が地球を守ってくれてただろうね。

    • 評価
  12. 何故か古いアニメのエンドクレジットと両手いっぱいのジョニーが思い浮かんだ。

    • 評価
  13. 原始の月は地球のマグネットコーティングだったんか

    • 評価
  14. 月より地球の方がはるかに質量が大きいわけだから、地場うんたらで月の影響がさほど大きかったとは思えないんだよなぁ。隕石にしたって、月が守ったと言ってもが、地球に落ちた方が絶対的に多かったはずだし。

    • 評価

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

知る

知るについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

自然・廃墟・宇宙

自然・廃墟・宇宙についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。