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果物の王様「ドリアン」が蓄電器の王様に?超高性能コンデンサの素材として注目(オーストラリア研究)

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(著) (編集)

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truthseeker08 from Pixabay
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 エレクトロニクス製品が世の中に偏在するようになったがゆえに、それらに使われるエネルギーを蓄え、速やかに充電を行ってくれる高性能なコンデンサ(蓄電器)が求められている。

 困ったことに、超高性能コンデンサを作り出すために最適な素材は得てして高価だ。そこで、オーストラリア、シドニー大学の研究グループは意外な素材を採用した。

 『Journal of Energy Storage』(2月27巻)に掲載された研究によれば、なんとあの果物の王様ドリアンの生ゴミ(廃棄素材)は、超コンデンサ用の電極を作る素材としてぴったりなのだという。

高価なカーボン・エアロゲルの代用となるもの

 研究グループのヴィンセント・ゴメス氏によれば、鼻が曲がりそうな悪臭のためにさっさと捨てられてしまうドリアンの生ゴミは、大幅に充電コストを引き下げられる上に化学物質いらずの持続可能な資源なのだそうだ。しかもそれを使えば、廃棄物を削減できるというメリットまである。

 一般に超コンデンサの開発には、カーボンナノチューブやグラフェンシートなど、カーボンを使った素材が利用される。

 素材として望ましいのは、電極を介してスムーズに電解質が拡散されるような、多孔性が高く、表面積を最大化してくれる特性を持つものだ。

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Tide He from Pixabay

 2010年、電気容量を最大化するという点において、標準的なカーボン素材よりも「エアロゲル」の方が電極の素材として優れていることが判明した。エアロゲルは99.8パーセントが空気で構成されており、個体としては圧倒的に最軽量の素材だ。

 特に1980年代に開発されたカーボンベースのエアロゲルは、超軽量かつ優れた断熱性を誇り、NASAもさまざまな機器に応用している優れた素材であった。

 だが、こうした先端素材のほとんどは高価だ。

 ポメロの皮、パルプ、スイカといった有機廃棄物からエアロゲルの素材を作り出せないか研究が進められるようになったのは、こうした事情がある。有機廃棄物からは、ただ乾燥させて水分を取り除いてやるだけで、良質なエアロゲルに必要な階層構造を得ることができるのだ。

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wahwah from Pixabay

ドリアンの芯を炭化させてカーボン・エアロゲルを作成

ゴメス氏が注目したのは、強烈なニオイがありながら濃厚な風味ゆえに果物の王様と呼ばれるドリアンや、世界最大の果実と言われるジャックフルーツだ。それらの芯は多孔質で、バイオベースのエアロゲルにはぴったりの素材であると思われたのだ。

 ゴメス氏らは地元の市場でドリアンを買い、木からジャックフルーツをもぎ取ると、芯を取り出し、脱イオン水(純粋)できれいに洗浄した。

 それらを加圧滅菌器に投入して180度で10時間加熱したのち、一晩冷却。さらに洗浄してから、フリーズドライにする。これを800度で1時間熱して炭化させると、「黒く、多孔性が高く、超軽量のエアロゲル」が完成した。

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UNIVERSITY OF SYDNEY

高い多孔性と大きな面積を持つ優れた代替素材

 このバイオ・エアロゲルから作られた電極は、ドリアンのものもジャックフルーツのものもじつに優れたエネルギー貯蔵特性を有していたそうだ。

 なお、ドリアンから作られた電極の方が、多孔性が高く、表面積も大きいことから、若干性能が上だったとのこと。だが、どちらも超コンデンサを作る素材としては、これまで考案された代用品に匹敵する性能だったそうだ。しかも安い!

今や、発電や蓄電をするために、温暖化につながらない持続可能な素材を急いで発見しなければならない状況になりました。

こうした問題に加えて、世界は急速に化石燃料の備蓄を使い果たそうとしています。自然由来の超コンデンサならば、効率よくエネルギーを貯蔵できるデバイスの開発につながることでしょう。(ゴメス氏)

 身近にある電子機器からなんだか不思議なニオイが漂ってきたら、それはもしかしたらドリアンから作られた部品が入っているからかもしれないし、そうでもないのかもしれない。

References:eurekalert./ written by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 28件

コメントを書く

  1. カーボン・エアロゲル化するコストの方が高いような……

    • -1
  2. 昔、加ト吉始め海老、蟹、烏賊などを加工する冷凍食品会社は多量に出るごみの処理に多額の予算を使っていたそうだ。
    それが80年代から電機メーカーが、その後サプリ会社がごみをを買いに来るようになったそうだ。
    前者は液晶、後者はキチンなどを手に入れるためだ。
    今ではジュース会社もごみを食物繊維やポリフェノールとして卸し、缶詰会社もDHA材料を出荷している。

    これも同じようななるかな。

    • +12
  3. おーほっほっほ、お見事ですよドドリアさん

    • +5
  4. 脱イオン水(純粋)

    純水の方がわかりやすいと思う。
    水は水素イオンと酸素イオンの混合物、イオンを除くと残るものはない。

    化学物質いらずの持続可能な資源なのだそうだ

    ドリアンも純然たる化学物質、木に成るかの違い。

    • 評価
  5.  エアロゲルは、燃料電池にも用いる素材ですからね。燃料電池で発電し、ドリアン製の高効率で軽量のコンデンサで蓄電、放電を繰り返すようになれば、ロスも少ないシステムが出来るでしょうね。

    • +1
  6. 自然物だから性能に個体差出そうだな
    ランク分けすればいいけど

    • +2
  7. 実用化すれば捨てるところはなくなる可能性はあるわけか
    なお、あの独特な匂い問題

    • 評価
  8. 天然素材の利用は良いけど構造が解れば人工的に作ったほうが品質も供給も安定してるんじゃないの

    • -4
    1. ※11
      元々人工的にエアロゲル作ってたけどコストが嵩むから、そこらの似たような有機物で代用できないかって話だろ

      • +4
    1. ※12※15※16
      貴様らローディストだなッ!!

      • +1
      1. ※27
        そこは「貴様ローディストだな、ローディストに違いあるまい」で行ってほしかった閣下ファン

        • 評価
  9. ポメロって何かと思ったら文旦のことか。

    スポンジ状の自然物なら冬瓜でもいけるかもしれんねぇ。
    あれのほうが大きいし。

    • 評価
    1. >>13
      冬瓜もそうだけど、「ヘチマ」なんかうってつけだと思う。
      なんせ文字通りスポンジそのものにできるくらいだし。

      • 評価
  10. 未来の電子機器はコンデンサがパンクするとドリアン臭くなるのか。

    • +3
  11. 未来のトレンドはジェネレーターにポテト、コンデンサーにドリアンなバイオコンピューターか

    • +1
  12. 行き着くところは、ナノレベルの多孔質スポンジ構造という事だろう。

    • 評価
  13. 臭いが残るような有機化合物だと劣化が激しくて使い物にならないかと。完全に炭素にしないとね。

    • 評価
  14. トップ画像ってドリアンなのか?二枚目の画像が俺の知ってるドリアンだけど、全然別物に見える

    • 評価
  15. 実用化して一般家庭にまで普及するのに何十年かかるのかね?

    • -1
  16. 短時間で多孔質構造体を安価に作るなら、菌類とかがよくない?
    キノコとか、あれ、すごいよ!!

    • +2
  17. 多孔質構造体の画像を検索して、トライポフォビアの俺は さぶイボエンドレス。

    • 評価

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