「犬の知能は２歳児以上」165個の言葉を理解したうえで4か5まで数えられる（カナダ研究）

　ほとんどのイヌが人間の２歳児程度の知能を持ち、165個の言葉を理解したうえで４か５まで数えられるという。

　知能が高いボーダーコリーやプードルに至っては250の言葉や合図を覚え、簡単な計算も可能であるということが、2009年８月にカナダ・トロントで開かれた米国心理学会で発表されたそうなんだ。

犬の知能は3タイプ

　発表者はカナダ・ブリティッシュコロンビア大学名誉教授で犬の特性などに関する著書のある心理学者スタンレー・コレン氏で、コレン氏によると、何年もかけて選別、改良育種して繁殖した結果、犬の知能は向上したという。

　同氏は子供の語彙を調べる「マッカーサー乳幼児言語発達質問紙」を犬用に改訂したものを用いて、犬の知能が人間の何歳にあたるかを調査した。その結果、犬の知能は本能型、適応型、作業・服従型の3タイプに分類されることが分かった。

　コレン氏は、アメリカ・ハーバード大学のブライアン・ヘアー氏が2004年に行った「人間による飼育とＩＱの関係」に関する調査に言及しながら、「私が何かを指差せば、犬はその方向に何か指示が出たと理解し、そちらを向く」と指摘。「生後8〜10週でも人間環境で育てられれば目を向けるようになる。オオカミも同様だ」とイヌ科の特性を説明した。

知能トップはボーダーコリー

　コレン氏は北米の犬の訓練競技会審査員らの協力を得て、1990年代前半以降のデータから110に上る犬の品種のランク付けを行った。

　作業・服従型の知能が最も高かったのはボーダーコリー。これにプードル、ジャーマンシェパード、ゴールデンリトリバー、ドーベルマン、シェットランドシープドッグ（シェルティー）が続いた。最下位はアフガンハウンドで古い品種ほど知能が低い傾向がみられた。

　コレン氏は「人気と知能は必ずしも一致しない。7位のラブラドールリトリバーは過去25年間にわたり人気トップの座を保持、下から７番目のビーグルも人気が高い」と述べた。

　同氏によると、犬は自己意識を持ち、周りの人間が何を考えているか分かっている。また、犬は人間と同じように夢を見る。小型犬の方が大型犬よりも頻繁に夢を見るという。

　コレン氏は「今回の研究で、犬は『毛皮をかぶった小さな人間』という見方と『プログラム可能な小さなロボット』という見方が可能になったわけだが、正解はその中間にあるだろう」と語った。