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地球の大気は月に届いていた。月を通り越して63万キロの彼方まで(SOHO

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(著) (編集)

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pixabay
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 人は物事に境界を設けることが大好きだ。

 たとえば、地球の大気と宇宙との境界のことを「カーマン・ライン」という。高度100キロの上空(異論もある)にあるここは、航空学の限界であり、宇宙航行学が始まるところでもある。

 だが、地球の大気はそれよりずっと複雑であるようだ。新しい研究によると、地球の大気は、月にまで届いていたというのだ。

 それどころか月を通り越してずっとその向こうまで広がっているという。

月のはるか向こうまで広がる地球コロナ

 この領域のことを「地球コロナ(geocorona)」という。地球大気の最外層が発する大気光の一部であり、紫外線で光る中性水素の薄い雲でできている。

 とても希薄なために測定するのは難しい。だが、地球から20万キロ離れると、太陽輻射圧が地球の重力を上回るようになるために、これまでそこが限界だと考えられてきた。

 しかしNASAと欧州宇宙機関が共同で運用する太陽・太陽圏観測機(SOHO)が集めたデータによれば、それどころではなかったのだ。

 地球コロナは63万キロの彼方まで広がっていたのである。

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image credit:ESA

じつは20年以上前に観測されていた

 驚くべきはSOHOがこのことを20年以上前になる、1996~98年に観測していたということだ。

 しかし、それ以来データはアーカイブの中で放っておかれ、今まで解析される日を待ち続けてきたのであった。

 地球コロナを地球から見ることはできない。それより内側にある大気圏によって吸収されてしまうからだ。

 そのために、観察するには宇宙空間に出るしかない。たとえば、アポロ16号の宇宙飛行士は、1972年に自分たちがまだその中にいるとは知らずに、地球コロナの写真を撮影している。

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アポロ16号が月から撮った地球コロナの写真 image credit:NASA

 SOHOに搭載されているSWAN望遠鏡は、「ライマンα光子」という水素原子からの放射線をフィルタリングし、地球コロナの光を選択的に測定することができる。

 地球コロナのより正確な範囲を知ることができたのは、この機能のおかげだ。

太陽な不思議な効果

 今回、地球コロナの意外なまでの大きさだけでなく、太陽の不思議な効果についても明らかになっている。

 地球の昼間側では、水素原子が日光によって圧縮され、1立方センチあたりの密度が原子70個分になる。すると、月の軌道では0.2個まで密度が薄まる。

 夜間側では、水素密度が太陽輻射圧によって上がり、一種の彗星の尾のような見た目になる。

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image credit:SOHO

新発見の影響は?

 水素原子は紫外線放射を散乱させるが、その量は太陽に吹き飛ばされる膨大な量に比べれば、無視できる程度である。

 よって地球コロナの正しい範囲が判明したからといって、宇宙の探索を進めるうえで大した違いはないということだ。

 だが地球コロナの範囲内に設置され、紫外線波長で遠い宇宙の果てを観測する望遠鏡の場合は、ライマンα線に調整を施さねばならないだろう。

 ということはだ。地球の大気(地球コロナ)外に行ったことがある人間は今のところ1人もいないということになるな。

 火星までの距離は7,528万キロメートルだから、火星に行く途中で初めて地球の大気を超えるということになるのか。

 この研究は『Journal of Geophysical Research: Space Physics』に掲載された。

soho.nascom / iflscience/ written by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 30件

コメントを書く

  1. 人類は宇宙に飛び出したつもりでいたが、
    実際は地球の手のひらの上ではしゃいでいただけなのか…

    • +20
  2. もしかしてコレは大気を手放している事になるのでは?

    • +3
    1. ※2
      なりますが、水素やヘリウムと言った軽元素がメインと思われるので、なにもせずとも核崩壊その他で揮発して地球の重力では窒素や酸素の重さに勝てず追いやられる分、と言えばそんな感じですかねぇ。
      我々の呼吸に関する面ではそれこそ太陽の活動が死への一歩を踏み出す頃までは大丈夫ではないかなと。

      • +3
    2. ※2
      軽い水素(H2)は少しずつ宇宙に放出されるけど、隕石や彗星のかけらなんかの水分(H2O)として結構な量が宇宙から降ってきてるって、どっかで読んだな

      • +1
  3. 地球の重力も木星付近まで届いてる。
    誤解してる人が多いが、ISが落っこちて来ないのは地球の重力とISの遠心力が釣り合っている場所に計算して放り込んでいるからであって、あの高度は本当は無重力ではないからな。
    「地球の範囲」は思ったりよりも広大だ。

    • +6
    1. ※5
      水平に落下し続けているという、地を這う生き物にとってはわけのわからん事が起きているんだもんな。

      • +4
    2. >>5
      スペースXが上げた車はISじゃなくてテスラ・ロードスター・・・と言う冗談は置いといて、ISS(国際宇宙ステーション)は薄い大気のせいでたまに噴射して高度を維持しないといけないから大変。

      • 評価
  4. 最近、空気が薄くなった気がするのはそのせい?

    • +2
  5. 入る物もあれば出るものもある。当たり前っちゃ当たり前。

    • +1
  6. つか常識じゃないの? 
    大気は地球重力を抜け出し宇宙に絶えず逃げてるし、太陽風に流されてもいる。
    極々、薄くなってもそれは大気の成分であり、月くらいは軽く越えてる。
    あと地球軌道上にもその痕跡を残してるしね。

    かなり昔にアシモフ博士の本で読んだ気がする。
    書かれたのは半世紀くらい前のはす。
    誰か詳しい人フォローしてくれ。

    • -5
    1. ※10
      言われて見ればそうだなと理解はするが
      殆どの人は特に意識したり考えても見なかったことであり常識というには程遠いかと
      大気圏のラインの1センチ上の高度から完全真空になってると思ってた人は常識以前の問題として(水と油の分離みたいな感覚での認識なんだろうけど)
      たいてい「ここから上は大気が希薄すぎるのでほぼ宇宙とみなしていい」という風にしか教わってないのだから

      • +8
      1. ※19
        ありがとう。
        そうか常識ではないかー、考え直そう。

        • +1
    2. ※10
      大気は地球から外に出ているのは常識だ。空に壁は無いからな。ただ何処まで行くのか、量はどのくらいかなどは不明だし、観測するまでは推測でしか無い。重力や大気やコロナが有るのは誰もが知ってるが、その実体については一部しかわからないのが人類。月を越えた大気が何処まで広がっているのはは誰も知らない。

      • +1
  7. 俺の吐いた息も月まで届く可能性があるのか
    いやないなw

    • 評価
  8. ユーリが、インディアンに言われた「ここも宇宙なんだよ」ってのが、未だに心に残ってる。
    あの台詞、色んな物の見方が変わった瞬間だった…

    • 評価
  9. 人が火星に行ったら、火星まで地球の大気が広がったりして。

    • 評価
  10. 地球は、水素のベ-ルで守られていたんだね。

    • 評価
  11. 人工衛星は大地と水平に落ち続けてるわけだけど。
    軌道を外れるのは大気との摩擦が原因。
    空気抵抗で速度が落ちて行き今度は大地(地球)に向かって落ちてくる。

    • 評価
  12. 重力と遠心力が均衡を保っていることで大気もその均衡の中にあるのものだとばかり

    • 評価
  13. 63万キロの大気圏内では地球資源拡散防止の意味で、宇宙空間方面に向けた放屁を禁止すべき。我々の小さな放屁ひとつひとつが、やがて大きな大河となり、この青き地球を育むのだ。

    • 評価
  14. 大気中に拡散した俺の屁も巡り巡って63万キロ彼方まで届いているのかもしれない

    • 評価
  15. もしかして、地球の微生物も 一緒に 宇宙に 散らばってる と 考えても いいのかな?

    • 評価

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