メインコンテンツにスキップ

1600年前の鉛のタブレットに記された呪いの言葉

記事の本文にスキップ

34件のコメントを見る

(著)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
Advertisement

ポーセロとその妻マウリラを吊るし、破壊し、押しつぶして、殺せ。彼らの魂、心臓、臀部、肝臓を

 これは1600年前のタブレットに記された呪いの言葉である。

 パレスチナ地方の古都エルサレムの旧市街の南側に広がる都市遺跡。古代イスラエル統一王国のダビデ王が建設した首都の遺跡であると考えられているダビデの町で発見された鉛のタブレットは、もっとも古い呪いの呪文のひとつと見られている。

 3つの宗教を代表する6人の神に向かって、裁判で争っている相手を呪い殺してくれるよう頼んでいるのだ。解読された内容は、あるローマの元老と獣医師に呪いをかけ、首を絞め、押しつぶし、殺してくれと頼んでいる。元老の場合は、手足を切り取ってくれとまで言っている。

 誰かに呪いをかけることは、必ずしも言葉上だけのこととは限らず、ときには割とマジで本気の場合もあった。2013年、イスラエル考古学庁が、ダビデの町で発見した1700年前のタブレットからはその憎悪の念がいかに深刻だったかがよくわかる。

 駐車場から発掘されたこの呪いのタブレットは、レニーズという人物相手の裁判に巻き込まれたキリラという女性を守ってくれるよう、6人の神に懇願する内容が刻まれている。

この画像を大きなサイズで見る

 この裁判についての詳細はわからないが、かなり厳しいものだったに違いない。ギリシャの神ヘカテ、ハデス(プルートー)、ペルセポネー、ヘルメスの4人の神と、グノーシス派の神(アブラクサス)、バビロンの神(エレスキガル)へ、あらゆる方面の神に対して抜かりなく頼んでいる。文章にはヘブライ語を起源とする魔術の言葉が含まれているようだ。

解読された呪いの言葉の一部はこうだ。

“わたしは打ち据え、打ちのめし、舌や目に釘を打ち込む。憤怒、先延ばし、レニーズの敵意にまみれている”

 ギリシャ語で書かれていて、地球のパワー、地下に住む悪魔たちに呼びかけ、プロの魔術師に刻みこんでもらったようだ。魔術師は儀式を行いながら、タブレットに文句を刻み込んだのだろう。薄い鉛のシートはしっかりと巻かれ、ローマ時代初期にローマの第十軍団によって建設されたと思われる建物の北東の角で見つかった。

この画像を大きなサイズで見る

 このタブレットについては多くの憶測が飛び交い、キリラやレニーズの人生がどうなったのか、考古学者たちの想像力をたくましくしている。タブレットが隠されていた建物は、レニーズと関連がある場所らしく、おそらく彼の住居か仕事場だろう。あるいは裁判所か、両者の法的な争いに決着がつけられた場所だったのかもしれない。建物そのものは地震で崩れ、廃墟になっている。

この画像を大きなサイズで見る

 呪いのタブレットは、これまで見つかっている一番古いと言われているものよりも一世紀近くも古い(ほかのふたつはイタリアの博物館所蔵)。これまでのものも冥界、魔女、幽霊、夜をつかさどる女神ヘカテに働きかけている。ペルセポネーの仲間であり、冥界の住人であるヘカテは二本の松明を持つ姿で表わされることが多く、呪いのタブレットでもそうだが、髪がヘビになっていることもある。

 2009年に、1600年前の呪いのタブレットが、イタリアのMuseo Archeologico Civico di Bolognaで再発見されていた。19世紀にはわからなかったが、今になって初めてこれらが解読されて数世紀前の古いタブレットだったことが判明したというわけだ。

この画像を大きなサイズで見る

 フィスタスという名のローマの元老が呪いのターゲットで、ほかには獣医師とその妻の名前が記されている。獣医師のポーセロとその妻マウリラの首を絞め、押しつぶして殺せという文句とともにミイラの絵が刻まれている。フィスタスに関してもやはり、繰り返し押しつぶし、四肢を切断するよう頼んでいる。

 彼らがどんなことをしでかして、プロの魔術師を雇ってまでして呪いをかけられるほどの怒りをかったのかはわからないが、大昔に神をひっぱり出してお願いをするほどのことがあったということを少しでも知ることができたのは興味深い。

via:knowledgenuts・written konohazuku / edited by parumo

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 34件

コメントを書く

  1. 神に頼んでまで救いたかったんだな、この文章を書いた人。

    • +4
  2. 悪口書いてSDカードに記憶したとして
    1600年後にSDカードは読めるだろうか?
    これからは悪口書くときは鉛の板にしよう

    • 評価
  3. 日本のは後口なのか、毎日1000人の~と宣言した毒々しい宣言を吐いた神が居ったな。

    • 評価
  4. 深読みし過ぎ
    どうせウナギの蒲焼の作り方とか、そんな感じの内容だろw

    • 評価
  5. そういやあまり日本では直接な「忌み言葉」的なものは残っていないね。
    爪を伸ばし放題にして食わずに云々とか間接的な描写とか、どこぞの木簡に「臭臭臭臭」とか建物に当時の(いちもつの)落書き……ってのは聞くけれども。

    • +4
  6. 人を呪わば 穴二つ
    この呪いをかけた人の末路はどうなったのか…

    • 評価
  7. うわーっ、「ぼくが1600年前にかんがえたさいきょうののろいのじゅもん」が公開されてるーっ

    • -30
  8. まあ時代劇と言えば、悪代官の登場が定番になっているから、1600年前の中東でも悪どい事をやっている奴なんてのは、きっと御満と居たんだろう。で、裁判の結果を知らせる時に…ダビデの紋章でも刻まれた印籠でも出していたのか?とか考えると、もう楽しくて仕方がない発見になるってもんだ(?)。

    • +3
  9. こういう時だけ多神教になるの?随分勝手なやつだな

    • 評価
  10. うっかり石にメッセージ彫っちゃうと1000年経ってから蒸し返されちゃって大変だな

    • -1
  11. 鉛にふっかつのじゅもん書いておけば1600年後に冒険の続きができるってことだな
    1600年後にファミコン売ってるかな?

    • +1
  12. 鉛に呪いを刻むなら、鉛で出来た壷にワインを入れて贈った方が効果が有りそうな…
    まあ当時は、鉛が毒である事は知られて無かったんだけどね。
    それにしても粘土板にクレーム刻んだり鉛に呪い刻んだり、現代と比べても遜色が無いくらい、ストレス社会だったんですね…

    • +1
    1. ※16
      でも外国語教科書とか国家予算など現代に失われた言語も
      載っていたりするので、言語学者が見たらスキップ踊ってしまう
      仮にお色気などどうでもいいものですら、当時の社会風土が
      どこまで自由だったのかわかるし無駄なものはないよ

      • +6
  13. 貴船神社に奉納されたアレな絵馬みたいなものか

    • +15
  14. これだけの年月が経過している呪具なんだから、これ自体が魔術的に貴重。
    とある界隈だと騒然とする代物だわ。

    • +4
  15. 1000年以上前から憎い相手には五寸釘って相場が決まってるんだな

    • +5
  16. 逆に考えれば、1600年前でも即殺害の実行に移さず
    こうしてギリギリ理性の内に収めることが出来たとも言えまいか?

    • -2
  17. これほどまでに憎悪を買うって
    レニーズさん、何したん?

    • 評価
  18. 便所の落書きでも時が経てばこんなんなりそう

    • +1
  19. これが1600年前の2chである、人間はの精神は進化しないのだ

    • +3
    1. ※26
      1600前の時代に「呪い」が理性的な行動だったかは疑問だと思う
      現代で毒殺を企てるのと同じくらいの感覚だったんじゃあるまいか

      • +1
  20. 10年前くらいに使ってたスマートメディアはもうデジカメで読めなくなってた
    そんで各種メディアに対応したUSBアダプタにも挿せるとこがなかった

    • +1
  21. その呪いとやらが成就したのか調査してくれ

    • +1
  22. ダビデ王時代のイスラエルは多神教が一般的だったとは聞いてたけど、ここまで節操無かったとは思わなんだ

    • +2
  23. っつか、この前「聖書関連する遺跡は何一つ見つかってないから聖書は偽物」とか言ってる学者いなかったっけ?
    それとは別にダビデ王に関係あると考えて発掘されてるトコもあるって事は、学者がそれぞれの考えで適当な事言ってるワケだな。
    この前のは仮説ならまだしも断言してたからなー

    • 評価
  24. というかこの時代に獣医師がいたってのが驚きだ。まぁ家畜も馬とか羊とか死なれたら困るから当然といえば当然なんだけど、職業として成り立ち、知識の集積があったんだなぁと。

    • +1

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

知る

知るについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

歴史・文化

歴史・文化についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。