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 地面のさらに下、2800キロの地中の奥底にはドロドロに溶けた鉄が渦巻いている。この液体の鉄が流れることで生じているのが地球を覆う磁場ー地磁気だ。

 地磁気は、危険な宇宙線や太陽風から私たちを守ってくれるだけでなく、古くはコンパスとして、最近ではGPSの基礎(世界磁気モデル)として利用されている。

 地磁気は常に変化しており、それを正確に調べるのはかなり難しい。だが今回、膨大な過去のデータを分析したところ、これまで想定されていたよりも10倍速く変化していることがわかったという。
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地磁気は常に変化し続ける


 目には見えない縁の下の力持ち的な地磁気だが、じつはじっと動かないわけではなく、常に変化している。

 現在起きている変化ならば人工衛星を使って測定することができるが、そうした文明の利器が発明される以前より、地磁気はずっと昔からそこにあり続けてきた。

 はるか以前の地質学的なタイムスケールにおける変化を知るためには、堆積物や溶岩の流れ、あるいは人工的な遺物などに残されている手がかりを分析する。

 しかし、それを正確に調べるのはかなり難しく、地磁気が変化する速さについては、専門家の間でいまだ議論が交わされている。 


これまでの想定より10倍も速く変化していた


 今回、リーズ大学(イギリス)とカリフォルニア大学サンディエゴ校(アメリカ)をはじめとする研究チームは、それとは少し違うアプローチをとることにした。

 地磁気発生プロセスを模したコンピューターシミュレーションと、最近発表された過去10万年分の地磁気の変化データを組み合わせてみたのだ。

 そして明らかになったのは、地磁気の変化はこれまで想定されていたよりもずっと速いということだ。『Nature Communications』(7月6日付)で発表された研究によると、これまで報告されてきた最速で年に1度という変化のさらに最大10倍も速いのだそうだ。

地球の磁場
iStock

急激な変化と局地的な弱まり


 研究では、こうした急激な変化が局地的な地磁気の弱まりと関係していることを実証している。

 つまり、こうした変化が起きるのは、「地磁気逆転(地磁気の極性が逆転する現象)」か、「地磁気エクスカーション(地磁気逆転にいたらない一時的な磁極の移動)」の最中であるということだ。

 これをはっきりと示す事例の1つとして、3万9000年前に地磁気の方向が年に2.5度ずつ鋭く変化していたことが挙げられている。

 この変化は、中央アメリカ西海岸沖に見られた地域的な地磁気の弱まりと関係しており、およそ4万1000年前の短期的な地磁気の逆転(ラシャン・エクスカーション)に続いて起きたものだ。

 これと似たような現象は、地磁気のシミュレーションでも特定されている。こうしたシミュレーションを利用すれば、制約の多い古地磁気学的な研究よりもずっと詳細にその物理的な起源を解明できるそうだ。

地球の磁場、地磁気
iStock

今後は低緯度地域での研究が重要に


 研究チームの分析によれば、方向の変化の中でも一番速いものは、液体コアの表面に存在する流れが逆転した区域の移動と関係しているという。

 こうした区域は緯度が低い地域でより顕著なのだそうで、今後の研究はそうした地域を重点的に取り上げる必要があるとのことだ。

Rapid geomagnetic changes inferred from Earth observations and numerical simulations | Nature Communications
https://www.nature.com/articles/s41467-020-16888-0
References:leeds/ written by hiroching / edited by parumo
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コメント

1

1. 匿名処理班

  • 2020年07月09日 20:36
  • ID:7GVfcHhe0 #

それで最近帰り道わからなくなったのか

2

2. 匿名処理班

  • 2020年07月10日 07:38
  • ID:te465ILH0 #

今、現実にリアルタイムでめっちゃ動いてるから想定も変えていくしかないんだよね。
wdc.kugi.kyoto-u.ac.jp/poles/polesexp-j.html

既に、実際にカナダ側にあった北地極は去年のうちに既にロシア側に移ってたはず。

3

3. 匿名処理班

  • 2020年07月12日 06:25
  • ID:aupW4MfX0 #

核撃ちまくっといてよく言うわ

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