固体でありながら液体である?それって猫のこと?
「猫は個体と液体、両方になりうるか?」を流動学で説明し、2017年にイグノーベル物理学賞を受賞したあの話かと思ったら、今回は全く別の話だ。
物質には3つの基本的な状態がある。固体、液体、気体(これにプラズマを加えることもある)だ。んな常識を打ち破り、固体であり、それでいて液体でもあるという新しい状態が発見されたそうだ。
改めて言うが猫のことではない。
それは金属カリウムを超高圧と超高温にさらすことで出現するという。 このときのカリウムは固体でありながら、解けているのだ。 スコットランド・エディンバラ大学物理学者のアンドレアス・ハーマン氏はこれについて、次のように説明する。
スポンジを水に浸して、水滴が滴っているような感じです。ただし、そのスポンジも水でできているんですよ。
単純なカリウムが複雑な形態に自己組織化
カリウムのつくりはかなり単純で、固体の状態にあるときはシンプルな結晶格子構造をしている。しかし極端な条件にさらされると、不思議なことが起こる。高圧にさらすと、原子が複雑な構造に自己組織化するのである。そのときのカリウムは、四角形をした原子の筒が5つあり、その間に原子鎖が4つならぶという複雑さだ。
image credit:McBride et al。、Phys Rev. B、2015
似たようなことは、ほかの物質でも知られている。たとえば、導電性を持つ金属ナトリウムなら高圧の中では絶縁体になる。またリチウムなら高圧かつ低温条件では超電導体になる。だがカリウムの場合、この状態のときに熱を加えると、鎖が消失するのである。
研究者はこの現象を「鎖融解転移(chain-melting transition)」と呼んでおり、カリウムの鎖が秩序ある状態から無秩序な状態に転移しているのだと考えている。
image credit:カリウム片 Dnn87/Wikimedia Commons, CC BY 3.0
秩序を保ちつつ、無秩序な状態へ
シミュレーションで、カリウム原子が極限条件にさらされたときの挙動を観察したところ、圧力(2〜4ギガパスカル)と温度が十分に高くなると、原子は鎖と格子が連結された状態にならぶことがわかった。このとき、格子状にならぶ原子同士の化学的相互作用は強く、400〜800ケルビン(126.85〜526.85度)の温度でも秩序ある固体であり続ける。
ところが鎖はといえば、解けて無秩序な液体になるのである。
研究者は、この新しい状態を「鎖融解相(chain-melted phase)」と呼んでおり、ナトリウムやビスマスのようなほかの物質でもありえるのではと考えている。
この研究は『PNAS』に掲載された。
てことは猫がとろ〜んと液状化した状態になっているとき、「鎖融解転移」を起こしている。とでもいうのだろうか?
いやまったく違うから。猫のことと一緒に考えないようにしよう、そうしよう。何がなんだかよくわからないから猫で例えようとした私が悪かった。
References:A New 'State' of Matter Can Be Solid And Liquid at The Same Time/ written by hiroching / edited by parumo
追記:(2019/4/ 16)本文を一部訂正して再送します。
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コメント
1. 匿名処理班
そうか!
猫が液体になればバター猫のパラドックスは生まれないって事だな!
2. 匿名処理班
えっと……………………
つまり、猫は個体であり液体でもある
猫がとろ〜んと液状化した状態になっているとき、
「鎖融解転移」を起こしているって事で良い?
3. 匿名処理班
液晶かアモルファスの話かと思った。また三態外の存在が見つかったのね。
4. 匿名処理班
つまり猫はカリウムで出来ていたのか
5. 匿名処理班
液体金属ってSFだと船体金属やあらゆる乗り物へ使われてる
もしこの金属が一般に流通したら事故ってもスイッチ入れて
変形した部分がポンと直ったり、戦闘機でもマッハ飛行に最適な
ボディーにAIが作り替えたりなどすごいことになる
現在はそこまで考えられてないのが悲しい
6. 匿名工作員
分子生物学で言う動的平衡みたいな、そんな感じかな。
流動するけど形は保つ。
7. 匿名処理班
猫を超高圧にさらしたら固体であり液体でもある状態になるってことだな
8. 匿名処理班
ガラスも液体と固体の両方の性質を持ってるんじゃなかったっけ。
9. 匿名処理班
気体と液体では超臨界状態になるのが知られてる
ノンカフェインのコーヒーとか作られるのに使われたりしてるね
これの固体液体間バージョンの発見
10. 匿名処理班
うん、分からん!
11.
12. 匿名処理班
なるほど、、これがシュレティンがーの猫の正体か!(錯乱)
13. 匿名処理班
今とは異なる別の極限環境下の世界では、我々が普段の日常で知っている物質は別の相をしているってことか
14. 匿名処理班
水飴のことかと思った。
15. 匿名処理班
個体のようで個体でない!ベンベン
液体のようで液体でない!ベンベン
其れは何かと尋ねたら、ハァーカリウム!カリウム!
16. 匿名処理班
スライムがそれじゃないの?
17. 匿名処理班
俺も超高圧、超高温に晒せば相転移してチート能力発揮できるんだけどな!
18. 匿名処理班
つまり猫は常に超高圧と超高温に晒されていて、その環境に平然と耐えられる究極生物ってこと?
19. 匿名処理班
化学は高校で卒業したんだけど固液平衡ではないっぽいね
20. 匿名処理班
猫は固体でも液体でもない毛体だから…
21. 匿名処理班
※8
学会の多数派は、ガラスは固体だとしているよ。厳密には”固体は結晶構造を持つ”とされていた定義を、”非結晶構造でも固体とする”ように定義を広げたので、自動的にガラスが固体に加わることになった。
非結晶構造の固体というのは学術的には「アモルファス」と呼ばれるもので、個々の分子は結晶構造を持っていても全体としては不規則に並んで固まっている状態を指す。(あまりにもガラスが代表的な物質なので、アモルファスのことをガラス質と呼んだりする)
ちなみに、その辺に落ちてる石のようなものは、鉱物(結晶構造を持つ固体)が複数種類集まってできた”固体の混合物”であって学術的な状態分類の”固体”では議論しない。
22. 匿名処理班
※10
奇遇だな、俺も判らん。
23. 匿名処理班
※10
判らんという気持ちが判る
24. 匿名処理班
鎖は融けてるけど別の力で結晶構造を保ってるってことかな
固まってるだけで液体だよね
25. 匿名処理班
ネコは「モフモフ体」だと思う
26. 匿名処理班
で、この個体はいつニャーと鳴くんです?
27. 匿名処理班
>スポンジを水に浸して、水滴が滴っているような感じです。
>ただし、そのスポンジも水でできているんですよ。
この説明で理解できる人は手を挙げて!
28. 匿名処理班
メタンハイドレートが構造としては近いのかな。
錯体とクラスターの複合技みたいなものか。
29. 匿名処理班
カリウムのスペクトル線とされてる画像がとてもそうは見えないけど。
ただのカリウムの塊では?
30. 匿名処理班
引用元を読むと削り出したカリウム片と書いてある。
キャプションを何から引用したのかわからないけど正しく引用してほしい。
特に画像とキャプションの内容が違うのは詳しくない人が見ただけだと間違ったまま覚えてしまう。
31. 匿名処理班
カリウム、猫ときたらムギですよクアールですよ。
32. 匿名処理班
液体であり個体・・・片栗粉だ!
33. 通りすがり
>>5
小さな傷が自動で塞がる塗装が現代技術
34. 通りすがり
>>16
スニーカーの衝撃吸収に使われるアルファゲルも液体と個体の両方の性質があるけど
この話のカリウムはその条件の中で個体の性質に逆らって液体の水質を見せたり液体の性質に逆らって個体の性質を見せたりする物
中間では無く個体と液体の両方の性質を否定するような変な子
絶対零度のヘリウム的な変な子
35. 匿名処理班
※20
「ネコは毛体」ですかこれまたけったいなお話ですな。
36. 匿名処理班
石油のピッチの話かと思った
37. 通りすがり
>>21
古い家のガラスを眺めて見ると歪んで見えのだが
ゆっくり流れてるのでは?
ペアガラスのように凹んでるのでは無く歪んで見える
38. 匿名処理班
コスモサンドかしら
39. 匿名処理班
結局何一つ分からなかったよ…
40. 匿名処理班
液体は重力などでちぎれるけど、
この状態の場合、プルプル柔らかで垂れたりするけど、ちぎれない。
って感じに捉えれば良いのかしら。
41. 匿名処理班
水銀に金を溶かしたアマルガムが感じ的に近いのかも
濡れた粘土みたいな感じ
42. 匿名処理班
※37
昔は動いてるのではないかと言われてたけど、研究の結果、古いガラスの歪みは製造が稚拙だったからという結論が出て、すでに間違いだと確認されてる。
ガラスの流動性は、その辺の岩石とほぼ一緒。
43. 匿名処理班
※42
逆に言えば「岩石にはガラスと同程度の流動性がある」ことになるのね。
44. 匿名処理班
夏野菜には多く含まれているミネラルですね。
カリウム!
45. 匿名処理班
水練り片栗粉みたいなやつかと思ったら違った。
ダイラタント流体とかいう…