人間は結構熱に弱い。水浴びをするか冷房をつけるか、熱中症対策用品を備蓄するかしかない。しかし、生物の中には、灼熱でも水一滴ない干ばつでも生き延びることができるものもいる。涼しさや水分を保てる奇妙な戦略を進化させた動物を見てみよう。
1.粘液嚢に包まれて何年も休眠するアフリカウシガエル
誰にでも毛布にくるまって世間から隠れていたくなる日はあるが、アフリカウシガエルにとっても状況は同じだ。彼らは数日どころか数年間も、毛布、つまり水溶性の粘液の嚢にくるまってじっと時の過ぎるのを待つ。
サバンナに乾季がやってくると、力強い後ろ足を使って地中深くに潜り込み、そこで体液が蒸発するのを防いくれる粘液の繭にくるまれる。再び雨季がやってくると、その粘液の寝袋が溶け、カエルは目覚めてその嚢
を食べる。7年間も眠っていることもあるという。とても長い時間のように思えるが、自然はすごい。
2.耳を大きく発達させたフェネック
北アフリカのキツネ、フェネックの耳が大きいのは、高くなりすぎた体温を放散して下げるためのものだ。この大きな耳がポケモンみたいで、人間にとってたまらなくかわいいものに映るのも戦略なのかもしれない。
3.光を反射する多肉植物センニョハイ
太陽の焼けるような光線から隠れる術がないなら、はね返してしまったらどうだろう? 砂漠の植物は一般的にこうした戦術で対応している。
センニョハイ(Dudleya brittonii)は、メキシコのバハカリフォルニア原産で日照りに適応できる多肉植物。葉はチョークのような白い蝋状のもので覆われていて、水分を逃がさないだけでなく、日焼け止め効果もあって、強烈な紫外線をはね返す。
4.水分を蓄えるため汗腺をなくしたカンガルー
有袋類はみんな変わっているので、奇妙な方法で涼をとる動物がいてもおかしくない。カンガルーは、水分をより蓄えるために汗腺をなくしてしまった。汗の代わりの冷却システムとして、脚や腕を頻繁に舐める。手足の特殊な血管網が気化冷却の役目を果たすようになっているのだ。
5.雨水を貯められるように皮膚を変化させたモロクトカゲ
オーストラリアの奥地に生息するトゲで武装したモロクトカゲは皮膚から水分を摂る。夜のうちに露が鱗に凝縮され、毛細管の活動によって口へと運ばれるのだ。
6.バクテリアのコートをもつ熱水ワーム
深海の熱水に棲むポンペイワームは、65度以上の高温でも繁殖することができる高温の熱にもっとも耐性がある生物。深海の釜茹で状態の環境でどのようにして生き延びているのか、詳しいことはまだよくわかっていないが、体を覆っているバクテリアのけばけばしたグレイのコートがなんらかの関係があるのではないかと考えられている。このバクテリアコートは、消防士の防火毛布のような役目を果たしているらしい。深海は真っ暗なので、見てくれは二の次なのが幸いだ。
7.防火構造をもつカラマツやジャイアントセコイア
温暖で乾燥した地域に生息する植物は山火事の被害にあいやすい。カラマツやジャイアントセコイアのような木は、厚くて燃えにくい樹皮を進化させ、外側に火がついてもその下のデリケートな組織は損なわれないようになっている。
8.熱と渇水対策は万全のラクダ
ラクダは暑さや渇水対策を完璧に備えた生き物だ。脂肪の詰まった大きなコブをもち、必要なときに食料やカロリーとして燃やすことができる。一風変わった長方形の赤血球は、極端な脱水症状に陥っても血管を巡り続けることができる。腎臓や腸には保水機能があり、水分が排出されても鼻腔がそれを水蒸気として捕え、体に戻すことができる。汗をかくことはめったにないが、かいたときは体重の25%まで絞って、生き延びることができる。
9.酸素摂取を遮断するメダカ科の魚
高温になると、酸素に影響を与え、有害な遊離基が生まれる。砂漠にいるこの小さなカダヤシ目キプリノドン科の魚は、デスバレーの高温の水たまりにいるが、驚くべきメカニズムを進化させた。呼吸を止めてしまうのだ。一度に5時間も息を止めることができ、糖分を発酵させてアルコールに変え、酸素を使わない代謝で生き延びる。ほかの秘訣はバクテリアのトリックかもしれない。この魚はエベレストに登るよりも、もっと本格的な覚悟で生きている。
10.排尿しないドルカスガゼル
尿は水分なのでそのまま放出すると、砂漠で渇きで死ぬ大きな原因になる。ドルカスガゼルは尿を濃縮して尿酸に変え、水分は出さずに白い丸薬のような固体として放出する。
11.乾燥したダンゴになって死んだふりをするクマムシ
究極のサバイバルに直面したら、おとなしくて動きの鈍いこの小さな生物に太刀打ちできるものはいない。水生の8本足のクマムシは、体長わずか1ミリしかないが、過酷な環境になると、丸まって乾燥したダンゴになり、死んだふりをしてひそかに保護用の糖分をキープして細胞を温存する。このダンゴは煮ても絶対零度寸前まで冷却しても、真空状態にしても、宇宙で強烈な放射線にさらしても、基本的に死ぬことはない。
via:gizmodo・Translated konohazuku
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コメント
1. 匿名処理班
適応能力高いな
2. 匿名処理班
クマムシ先輩貫禄のトリ
3. 匿名処理班
生物の進化は何億年という長い月日のなかで日ごと洗練され、より完成され、より多様性をもったシステムをかたち作ってゆくわけだけど
現時点でこれだけの完成度を誇っているシステムがこれから先さらなる進化を遂げていった先には、どれほどの神秘が待ち受けているというのだろう。
4. 匿名処理班
クマムシ「おら、どんな環境でも生き抜ける事が出来るんだべ!」
他の微生物「お?こいつ動かないやんけ!いただきます!」
5. 匿名処理班
トップでサムネのトカゲさんが
「ウロボロスっ!」と一発芸見せてくれてほっこりした
6. 匿名処理班
9番のパップフィッシュは、ダツ目メダカ科じゃなくて
カダヤシ目キプリノドン科じゃないかな、まだ分類は混乱しているけど
7. 匿名処理班
最初のウシガエルさんの寿命は寝てる間もカウントされるよね?
そうだとしたら、けっこう長生きしてそう
8. 匿名処理班
死んだふりではないです
9. 匿名処理班
こういう動物の研究をして、暮らしを快適にするように工夫する人間様のほうが究極の進化をとげた生物だと思うがな。
大体、こいつらは自分の暮らす土地から出られないし、出たら逆に死んでしまうし。
人間は、自分が生きられない土地があれば、その環境を変えてしまうチカラがあるし。
そもそも、何千、何万年とかけて進化しつづけて、熱に耐えるだとかそれくらいの能力しかないんじゃあなァw
まあ、環境破壊よくない!とか言い出す人がいれば、とりあえず仙人にでも進化して霞でも食って生きてくれればいいけど、こんなコメントする私も節度は守っているよ。
10. 匿名処理班
人生の最も良い時迄アフリカウシガエルのように休眠していたい。
11. 匿名処理班
大空魔竜だ…
12. 匿名処理班
※7
キプリノドンてカッケーなと思ったら、『メダカ』みたいなノンキな名前ついてんの日本だけなのな。
13. 匿名処理班
あの熱水ワームさんの
UPはちょっと・・・(−Д−;)
14. 匿名処理班
辛くてしょうがない今の生活にも
なにかブレイクスルーが見つかるかな?
この世の主人公である自分が、進化しないはずが無い
15. 匿名処理班
擬態するのも凄いと思う
天敵の天敵がなんなのかを理解して蛇とか蜂にそっくりの姿になるとか
16. 全温度チアー
こういう進化を、わずか一代でやり遂げてしまったのがジャミラさんです。
17. 匿名処理班
ペンギンの寒さ対策もすごいのよ!
18. 匿名処理班
クマムシだっていきなり環境が変化すると対応できないらしいぞ。
以下ウィキペディアより
乾眠状態には瞬間的になれるわけではなく、数時間をかけてゆっくりと乾燥させなければあっけなく死んでしまう。乾燥状態になると、体内のグルコースをトレハロースに作り変えて極限状態に備える。水分がトレハロースに置き換わっていくと、体液のマクロな粘度は大きくなるがミクロな流動性は失われず、生物の体組織を構成する炭水化合物が構造を破壊されること無く組織の縮退を行い、細胞内の結合水だけを残して水和水や遊離水が全て取り除かれると酸素の代謝も止まり、完全な休眠状態になる。ただし、クマムシではトレハロースの蓄積があまり見られないため、この物質の乾眠への寄与はあまり大きくないと考えられている。
乾燥 : 通常は体重の85%をしめる水分を3%以下まで減らし、極度の乾燥状態にも耐える。
温度 : 151℃の高温から、ほぼ絶対零度(0.0075ケルビン)の極低温まで耐える。
圧力 : 真空から75,000気圧の高圧まで耐える。[1]
放射線 : 高線量の紫外線、X線、ガンマ線等の放射線に耐える。X線の半致死線量は57万レントゲン(ヒトの致死線量は500レントゲン)。
19. 匿名処理班
俺も放熱のために髪の毛を無くして進化したんだよね
生物的昇華したのであってハゲたわけじゃないからね
20. 匿名処理班
>>もっと本格的な覚悟で生きている。
デスバレーメダカ先輩カッケーっす!!
21. 匿名処理班
ドルカスガゼルの排尿しないってニワトリみてーだなw
22. 匿名処理班
※10
環境変えないと生きていけない時点でそんな偉そうなもんじゃないよ
人間なんて生きて行くのに必要なもの殆ど他者から頂かないと生きていけないんだよ?
水と光でエネルギー自作して地上に酸素くれる植物さんには敵わない
23. 匿名処理班
俺は足に尿酸をためることが出来るぞ
24. 匿名処理班
クマムシこそがカーズの追い求めた究極だったか
25. 匿名処理班
>ドルカスガゼルは尿を濃縮して尿酸に変え、
>水分は出さずに白い丸薬のような固体として放出する。
衝撃受けた。
「当たり前のこと」を自然はいともたやすく覆してくれるな
26. 匿名処理班
イエローストーンの温泉藻もすごいよ
80℃で生存できるように進化してる
27. 匿名処理班
ワームがグロいおっぱ…みたいに見えた俺を助けてくれ
28. 匿名処理班
※25
節制してくださいね
29. 匿名処理班
※25
つーふーしました
30. 匿名処理班
あのガゼルすげーな。ほんとに哺乳類かよ
カンガルーはそれほんとに意味あるのって感じがする。
あとクマムシはそれ乾眠移行時に三割くらい死ぬし解除時にも死ぬし、あれマジで最後の手段の緊急避難だぞ
そんな無敵の防御モードて訳じゃない
31. 匿名処理班
酸素を使わない代謝ってスゲーな
人間に応用して地球温暖化を防げるかもしれんな
32. 匿名処理班
ワームkoeeeeeeeeee
33. 匿名処理班
※34
人間も無酸素系の代謝できるよ。
ただ、数十秒しか持続できないだけ。
34. 匿名処理班
イチョウは葉の水分含有量が多い。
その為に阪神淡路震災ではイチョウ並木が防火帯の役割を果たして延焼を免れた地区があった。
35. 匿名処理班
ワイの髪の毛も永遠に休眠して保持してくれないかにゃ〜 (^・ω・^ )
36. 匿名処理班
トップのアルマジロトカゲは何なんでしょうか?
37. 匿名処理班
トップの”ウロボロス”みたいなトカゲさんの名前が知りたい!
可愛いわ…あのまま転がるのかしらん。
38. 匿名処理班
尿酸で排出するというと爬虫類や鳥類の双弓類系がそうだったはずだけど、初期の双弓類も単弓類より乾燥地帯に住まなくてはならなくなり進化したのかな?
卵の中の浸透圧を上げないというメリットもあったはずだけど、ガゼルには関係ないな。
39. 匿名処理班
3.センニョハイの白い蝋状のものって
ブドウやキュウリとかにも出るブルームと同じものかな
40. 匿名処理班
別に環境破壊絶対しない!なんて思ってないけど、10みたいな傲慢な考えはあまり好きじゃないな。
41. 匿名処理班
※10
うーん、人間はいろいろ退化していると思いますよ。基本的にはアフリカにいた時から変わってません。すなわち、肌の周りの温度と湿度は 30 ℃前後で、 60-80% くらいになるようにしてますよね。それを維持できるようにして、おうちの中から、極寒の地、はては月の表面まで行けるようになりましたが、肌の周りの条件は変わりませんね。まぁ、裸族な人たちは気温 4 ℃のお宅でも裸のままお休みになれますが、ほとんどの方は対応できませんね。そういう意味で、わたくしたちは肉体的にはあまり進化しているとは言えないと思います。
42. 匿名処理班
いつも思うのですが、野性動物と人間、どちらが生きるのシンドイんだろう。
43. 匿名処理班
2015年か。既にフォッコは出てるな。
44. 匿名処理班
ラクダって25%まで体重減らしてもって凄いね。体重60kg→15kgだと大人が幼稚園児になるようなもんだ。
ホッキョクグマなんかも冬眠出産授乳を絶食中に行うから体重が半分になるんだっけ?
ガゼルも凄い、人間的に考えると腎臓大丈夫?って思ってしまう。
年単位での絶食休眠とかどうやって獲得したんだろう?植物なら種で千年単位もあるし…。自然界に生きる生き物は本当に凄いね。
*34
だから選ばれて植えられてるんだよ