日本でも "ホメオパシー" という言葉はすでに浸透しつつあるだろう。これは今から約200年前、ドイツの医師サミュエル・ハーネマンが提唱した自己治癒力を高める ”同種療法”をさすもので、代替医療の一種である。
”同種療法" は、「同じ症状を起こすものは、その症状を取り去るものになる」という「同種の法則」に基づいたもので、例えば日本では、「風邪をひいた時、首にネギを巻く」という風習があるが、これは、風邪を引くと鼻水がでるという症状に対し、刻むと涙や鼻水が出るネギをまくことで、その症状を取り去るというホメオパシーの理論に基づいたものだと言われている。
賛否両論あるホメオパシーだが、この度オーストラリア国立保健医療研究審議会(以下NHMRC)が調査を行ったところ、効果があるとして提出された研究結果のほとんどに不備があり、ホメオパシーの効果を立証するには至っていないという結論に達したという。 国家機関がホメオパシーに対する大規模調査に乗り出したのはオーストラリア政府が初めてだという。
NHMRCはホメオパシーについて述べた合計225の研究論文を精査した。その結果、一部に効果が認められるケースはあるとしながらも、ホメオパシー肯定派の研究者が行った研究のほとんどは研究設計自体に不備があり、ホメオパシーの効果を立証するうえで用意された被験者があまりにも少なすぎるという実態を指摘した。
via:theguardian・原文翻訳:lingafrank
ホメオパシー支持者は日本よりも海外の方が多いと言われている。2009年、世界保健機関ではホメオパシーの効果に関しての見直しをすることを発表し、更にNHMRCがホメオパシーに関しての信頼できる推定値が存在しないと述べたにもかかわらず、オーストラリア人は1人あたり年間約1200円を、ホメオパシー関連に費やしているという。
だが、ホメオパシーによる効果を実感している人たちが存在するのも確かだ。それは「病は気から」という言葉があるように、医学的根拠が認められないものでも、本人が信じれば効果が出るというプラシーボ(プラセボ)効果がみとめられるケースがあるからだ。
だがプラシーボ効果自体は心理的作用や暗示による作用が大きいとも言われており、医師が薬として偽薬を処方するだけでも生じる。つまり単純にホメオパシーを行えば必ずプラシーボ効果を引き出せるとは限らない。
本人が「効く」と信じることで自然治癒力が高まったとすれば、それはそれで良いかもしれないが、問題となるケースは、ホメオパシーだけに頼り、科学的な治療を拒むことで死亡させてしまうケースもあるということだ。また、ホメオパシーを謳って効果のない砂糖粒を売りつける悪徳業者も存在することも懸念材料だろう。
ホメオパシーとワクチンの違い▼あわせて読みたい
ホメオパシーはワクチンは良く混同されがちだが異なっている。異なる点は、ワクチンは本来のウイルスそのものを使用することで抗原抗体反応を促進させるものであるのに対し、ホメオパシーの場合、似た症状を引き起こす別の物質を使うので、病原体に抵抗力はつくことはない。例をとると、インフルエンザ患者に、発熱作用を起こす物質キニーネを与えても、インフルエンザウイルスが発熱を起こすメカニズムや抗体反応とは全く違うメカニズムで起きているので、インフルエンザに対する抗体は得られないということだ。
プラシーボ効果についての10のクレイジーな事実
英開業医のほぼ全員がプラシーボ効果を狙って偽薬を処方したことがある(英研究)
「ぐっすり眠れた!」と思い込むだけで集中力、記憶力を向上させることができる(米研究)
大きな波紋を呼んだ10の疑似科学
インドで再びブームとなっている出産前の牛の尿を飲む健康法。ガン予防に効くらしい。
コメント
1. 匿名処理班
でも、ワクチンとかアレルゲン免疫療法って概念的には近くね?
そこから、システム化されて分離されたものと、そうでないものに別れた片割れなんじゃね。
2. 匿名処理班
ホメオパシーのせいで「ホメオスタシス」がインチキと思われやすい
勘弁して
3. 匿名処理班
>>1
希釈されすぎてて実際には「ゼロ」に近く、効果がある物質を使用してても効果が期待できない状態だから詐欺・オカルトとしか言えないんだよ。
4. 匿名処理班
そもそもホメオパシーには、原因物質の分子は薄めすぎて一つも入っていないそうな。
「水の記憶」なるものに頼っているので、そもそもワクチンなんかとは本質的に違うのであります。
プラシーボ効果以上のものは期待できない上に、頼りすぎるあまりに現代医療をないがしろにして、重大な事故が起きていますので、(山口新生児ビタミンK欠乏性出血症死亡事故)このような代替医療は気をつけなくてはなりません。
5. 匿名処理班
毎年、風邪を引くと花粉症の症状が消え、目がかゆくなくなる。
鼻水は相変わらず出る。
風邪が治ると目が痒くなってくる。
一時的に症状が取り去られるだけで、完治するわけではない。
6. 匿名処理班
※1
似て非なる物、という言い方が正しいだろうと思います。おそらく根っこからして全く違うものかと。
ホメオパシーの提唱者が天然痘ワクチンの考え方にインスパイアされた、というのは年代的にありそうな話だとは思いますが、さすがにホメオパシーの理屈は科学的というよりは呪術に近くて、科学的な妥当性・信頼性を問うことは無理でしょう。
例えて言うなら
ワクチンを科学雑誌のネイチャーとするなら、ホメオパシーはさしずめ月刊ムーくらいには違うと思います。
7. 匿名処理班
好意的な見方をすれば西洋医学での証明は出来ないけれど、病は気から理論で効果がゼロではないということかな。
にしても、単純計算で砂糖粒1粒当たり約11円くらいだったから、1200円というと年間で約110粒くらい使ってるのかオーストラリア人。
諸事情を総合考慮して医師主導で管理するという考えはありかもしれない気がする。金額的にも、精神的にも、治療対象的にも。昔、介護経験時期に偽薬でいいので何か処方してくださいって頼んだことがある。
ただ、効果(?)が人によってばらつきが大きすぎるので難しい話かな。研究分野としては面白い範囲だとは思うけれど。
8. 匿名処理班
オーストラリアは皆保険制度だっけ?
あの手の詐欺みたいな疑似医療に保険適用なんてされたら
代替医療信者以外は嫌だろうな
自費なら好きなだけやってってかんじ
9. 匿名処理班
定期投与の間に挟む偽薬とは違うもんね
10. 匿名処理班
サイモン・シンの本で読んだな
ただあの本は民間療法などに偏見はなく私意的に結論を出すことはしないって始まってほぼ全否定(偽薬効果含めて)してたけど最初からこの結論用意してたろー!w感が凄かった
だいたい同意するけどもさー
11. 匿名処理班
武器軟膏(怪我をしたときに傷つけられた武器の方に軟膏を塗ると怪我が治る)
とかとおんなじですなあ
12. 匿名処理班
ネギを巻くのはネギの有効成分が喉のいいとかそういう理由かと思ってた
13. 匿名処理班
っつうか、インフルエンザ予防もWHO効果ないっていってるよね。
14. 匿名処理班
ただの砂糖玉を1g500円で売る簡単な商売
15. 匿名処理班
>>4
ゼロに近いんじゃなくて理論的にゼロなのよ。
有効成分の分子が1リットルに100個入ってる溶液を10000倍に希釈したら
1リットルにその分子が入ってる確率は1/100でしょ。
実際にはこれよりもケタ違いに希釈してるんだよね。
16. 匿名処理班
精神面からくる腹痛とかなら効果はある
17. 匿名処理班
前近代の民間療法が今まで生き残ってきたのが不思議。
水飲んで後は自己治癒力にまかせるのかな。
18. 匿名処理班
※16
気道を刺激し、痰を取り除く作用とねぎの揮発油分が汗腺煮作用して発汗を促す。
同じ意見です
19. 匿名処理班
近所に何でもレメディ、レメディ、レメディって、カバディくらい勧めて来る人がいたな。怖かった。
20. 匿名処理班
プラセボ効果をホメオパシーが立証したってことでいいやんwww
21. 匿名処理班
褒められるとやる気が出てくる「褒めオパシー」とか流行りそうだな
22. 匿名処理班
一時期健康食品やサプリメントにハマってたんだけど
最終的にホメオパシーに行き着いてしまって
そこで一気に醒めてしまった。
一体今まで何に金をつぎ込んでいたんだって反省したよ。
23. 匿名処理班
塩に砂糖混ぜるようなもん?
24. 匿名処理班
※18
ワクチン接種の話なら感染予防に関してはさほど期待できるものではないと言ってる。
ただし、年齢による効果差はあるものの重症化の予防効果はあって
現時点で最も有効なインフルエンザ対策はワクチン接種だとも言ってる。
統計学の知識が皆無で英文も読めないアンチワクチンが
毎年インフルエンザの季節になるとワクチンは効果がないとわめくし
一方でホメオパスはインフルにはレメディが有効だワクチンは効かないとわめくし
あれも季節性の病気なのかもしれんな。
25. 匿名処理班
※31
清涼飲料水に砂糖の代わりに人工甘味料入れるようなもん。
甘いは甘いがエネルギーにはならない。
人体にとっては有害無益。
26. 匿名処理班
※16
俺も全く同じ理由だと思ってたからちょっと意外だったわ。
27. 匿名処理班
20C(ホメオパシー用語で100倍希釈を20回繰り返す)すると、原物質を太平洋の水すべてで希釈したより薄くなる。
1分子が残ってる確率すら天文学的に低い
完全な詐欺です
28. 匿名処理班
※21
初期が分子100個っていうのはどうなんでしょう?
そんな微量とれる技術はあったのか疑問です。
仮に6.0*10^23個だとしたら拡散された状態なので理論的に0になることはないのでは
29. 匿名処理班
※26
プラセボはほぼタダだけどホメオパシーのレメディは薬としても大変高価な部類
プラセボ効果を期待してレメディを使う意義もゼロなんだよね
30. 匿名処理班
※38
「やる夫で学ぶホメオパシー」で検索してみるといいよ。30C希釈が説明されてるけど、58g1molの食塩を30C希釈(10の60乗倍)すると、出来上がったレメディに食塩分子が1個でも含まれている確立は6.02x10^(-37)つまり事実上完全に0になる
31. 匿名処理班
※40
ありがとうございます!!!!
32. 匿名処理班
はいはい、プラシーボプラシーボ
33. 匿名処理班
スパシーバ!
34. 匿名処理班
「風邪をひいた時、首にネギを巻く」
昔、親によくやられたけど、ネギ臭いだけであんまり効果なかったんだな
35. 匿名処理班
ウツの友達がホメオパシーの先生?に「あなたが衝動的な行動を取りたくなるのはあなたがライオンだからです」と言われて思い当たると言ってた。突然窓から飛び降りたくたなるのはそのせいなんだと。あの意味が未だに分からない。
36. 匿名処理班
友人が昔ハマってたなー
可愛くてオシャレでナチュラルな雑貨が好きな子で
なんかカワイイガラス瓶に入ったファンシーな砂糖粒を色々揃えてた…
出産もホメオパシーを使う産院で産んでた
本人が好むのならと思い、特に異論はしなかった
37. 匿名処理班
ホメオパシーの効き目についてはプラシーボ効果で説明ついちゃうんだけど、そのプラシーボ効果自体が科学的に証明されていない原理なんだよねえ。
プラシーボ効果の具体的な仕組みがわかれば化学療法+プラシーボで医療がかなり進むんじゃないのかとひそかに期待していたりする。
38. 匿名処理班
ところがノーベル生理学医学賞を受賞したリュック・モンタニエはホメオパシーを擁護して中国、上海の北方交通大学でホメオパシーの研究をしているという。
博士がいうには原因物質が希釈水に残っているのではなく水には原因物質の一種のパターンを記憶する能力があるという。
こういう研究や超心理学の実験ももっと高いレベルで何かしら明らかになることを望むよ。
blog.homoeopathy-books.co.jp/2012/04/post-2720.html
>モンタニエ博士の実験によると(そして、彼の他の同僚たちによる数多くの実験によっ
ても)、原初の薬剤の電磁信号は水の中に残存し、驚異的な生物学的作用を発揮するとい
うものであった。
39. 匿名処理班
フラワーレメディとかいうのもこのジャンル?
こういうのにはまる女性は結構いるみたいだけど、
なぜに根拠の積み重ねである科学やら医療やらを否定して
うさんくさい疑似科学のほうを信じちゃうんだろう。
40. 匿名処理班
親戚がこれで離婚寸前まで行った
処方された薬の半分飲まない→体調不良のまま7年経過
離婚騒動→ちゃんと飲むようになって半年後完治
身内に居ると洒落にならない;;
41. 匿名処理班
つまり祈祷師治療とかわらんということだな。
知ってた。
42. 匿名処理班
※39
そう。原理は同じもの。
フラワーレメディ(フラワーエッセンス)も、花の波動を水に転写して…というもの。
エッセンスの方は水なので、経口摂取したり、マッサージに使ったり、空間にスプレーしたりする。
ホメオパシーとちがうのは、効果を“心”の方に特化していることかな。
花という可愛らしさから、スピリチュアル好きな女性がハマる。
だけど、おまじないやお守り程度に思えない人は使っちゃいけないよ、こんなの。
検索すると出てくるブログのイタいこと…
43. 匿名処理班
※51
似非科学は人が好みそうな結論が先にあって
そこにそれっぽい理屈付けを行うからだろう
44. 匿名処理班
そも、誕生のルーツを理解していればホメオパシーがオカルトでしかないのに気付く筈なんだよな。
マラリアに対するキニーネの薬効とその副作用が、ホメオパシーが誕生するきっかけであったが、キニーネはマラリア原虫に対する毒性によってマラリアを予防、治癒させるものであってマラリア様の症状は同じ毒性による副作用でしかない。
寄生虫病の一例だけの結果を、細菌性感染症や果てはウイルス性の病気、生活習慣病まで無理矢理に敷衍した結果がオカルト化したホメオパシーなわけで。
細菌どころか寄生虫の存在もよくわかっていなかった200年前ならともかく、現代じゃ病魔に対して護摩を焚くのと変わらんのにね。
45. 匿名処理班
ホメオパシーの効果はよく知らないけど、
呪術とか思い込みの力って個人的には馬鹿にできないと思う。
まあ、医療関係者が否定するのは当たり前だろう。
46. 匿名処理班
ま、そりゃそうだわな。「水からの伝言(笑)」にも引導渡してくれ
47. 匿名処理班
ホメオタシー、マクロビ、レイキあたりは科学的根拠はないエセ科学
レメディは聖水にエッセンスを入れて聖書の上で一万回振ったものを一万分の一に薄めて砂糖玉に染み込ませたもの薄めれば薄めるほど効果が強いとされている
服用すると体の波動を変えると言われてるチベットあたりの波動治療について詳しく話せればなお神秘性が増す
販売員より詳しく説明できるがクソ高い砂糖玉は買わないよ
48. 匿名処理班
まず、プラシーボ効果の機序を解明しろよ。
プラシーボがコントロールできたらどれだけ役に立つことか。
49. 匿名処理班
えーと、1000倍希釈を10回繰り返した農薬は病害虫に効果があると思いますか?
50. 匿名処理班
でもナイチンゲール(だったかな?)は称賛したらしいじゃん
「民間療法とか言って無知なおばはん方が友達に勧める毒性のある野草とかよりかなり優れてるわ!なんせホメオパシーは毒にも薬にもならないしwww」
って
51. 匿名処理班
都内。近所の超混んでる産婦人科の人気女医さんがやたらレメディを処方する。
結局効き目はよく分からなかった。
日本のホメオパシー協会だっけ?も数年前から矢面に立たされているが、
これに対する彼女の見解が聞きたい。
52. 匿名処理班
野暮なことを
基本どの国も研究機関もちゃんとした調査をしないでいるのに
気の持ちようってのはあるんだしそれをそれなりに制御する技術と捉えれば有効とも言えるのに
53. 匿名処理班
やる夫で学ぶホメオパシーはやる夫で学ぶシリーズの中でも傑作だから
ホメオパシーに興味をもった人はググって読んでみるといいよ。
54. 匿名処理班
>49
「ノーベル賞受賞者も認めている!」というホメオパシストの宣伝があったので
カナダCBC放送がインタビューしたところモンタニエは「(彼の研究=DNAの電磁的転写は)ホメオパシー用のプロダクトには適用できない("cannot extrapolate it to the products used in homeopathy".)」と答えている。 ⇒リュック·モンタニエをWikipediaで検索して英語版を読むと出ていました。
55. 匿名処理班
※52
偽薬はホメオパシーなんて詐欺の専売特許じゃないんで
56. 匿名処理班
※69
気の持ちようで重病患者を放置してたら終わる
有効な場合も無くはないが、弊害が多すぎて推奨できないな
57. 匿名処理班
※49
>水には原因物質の一種のパターンを記憶する能力があるという。
その水が記憶する能力ってのがオカルトなんだよねぇ。「記憶する仕組み」を理論的に説明できるの?
58. 匿名処理班
ネギは首に巻いても効かないが
食えば効くぞ。痰も減る
59. 匿名処理班
蛇とか貝殻とか意味分からん
イタイイタイ病と同じらしいよ
60. 匿名処理班
ここのコメントを肯定・否定している人たちの何割が実際ホメオパシーを受けたのだろうか。実際受けなければ意見を言う資格がないわけではないが、とりあえず受けてみろよって思う。
61. 匿名処理班
少なくとも、うちのウサギは病院から処方されたホメオパシー剤では病気が治らず死んでしまった。詳しい説明をまるで受けていなくて「とにかくアメリカ製のすごい薬」とだけ認識させられていたので、ウサギの死後にネットで調べて事実を知って死ぬほど後悔した。
62. 匿名処理班
※60
おまじないと同程度の効果は期待できるでしょう。
宗教的に医療拒否する人がいるのと同じで本人が自分の意思で選ぶのも仕方ないでしょう。
しかし他人に勧めるのは善意による虐待です。
少なくともホメオパシーが提唱する理論が成立しないことは明白です。