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 インターネットの普及により、パソコンのスイッチをオンにすれば、憂鬱な気分になるニュースは洪水のように流れ出てくる。死、破壊、大災害に大災難、暴動に戦争、その内容は日ごとに悲惨さを増しているように見える。しかし希望というものは、最もかけ離れた所に根を下ろすときがある。そんな不快感を解毒するため、地上で最も無慈悲な場所から届けられた10の心温まるエピソードを見てみることにしよう。
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10.オクラホマの犬

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 米オクラホマ州に上陸した竜巻は、モンローの街を破壊していった。その1時間もしないうちにニュースサイトには悲惨な災害の状況を伝える画像で溢れかえった。そんな中、壊れた家を見守りながら悲しげにたたずむ一匹のコリーの写真が注目を浴び、あっという間に人気ものとなった。犬の名はスージー、12歳だ。

Facebookに投稿されていたスージーの写真
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 スージーは飼い主がその瓦礫の下敷きになってしまったと思い、その場から離れることができなかったのだ。幸いなことに、スージーの飼い主は生きていただけでなく、彼はボロボロになった街の清掃作業をしながら、自分の愛犬を必死に探していた。彼の妹がFacebookでたまたまスージーの写真を発見し、警察に通報したおかげで、彼らは感動的な再会を果たすことになった。


9.強制収容所で生き抜いた恋人達

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 部隊はナチスの強制収容所。Luigi Pedutto と Mokryna Yurzuk は1944年、共にオーストリアの強制収容所に放り込まれた。彼はイタリア人の捕虜だった。また彼女はヒトラーが理屈抜きで嫌ったウクライナ人だったことがその理由だった。2人は想像を絶する環境で1年間働き、そしてに恋に落ちた。戦争が終わり、ソビエトはMokrynaを本国へと強制送還した。PeduttoはMokrynaと共に生きたいと思ったが、ビザを断られ、彼らは60年間も離ればなれになってしまった。

 そして2004年、Mokrynaのことが忘れられないPedutto は、最後の望みをかけて行動を起こした。ロシアのリアリティTV番組に手紙を書いたのだ。するとその番組はMokrynaの行方を探し、2人は60年ぶりに再会することができたのだ。人生で一番過酷なときを共に生きた2人は、再開後、再び交際が始まった。それは今も続いている。イタリアとウクライナをお互いに行き来する遠距離恋愛だ。

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 2人のトゥルーラブは、多くの人に感動を与え、キエフには2人を祝福する銅像が立った。これで二人は永遠に一緒だ。


8.北朝鮮の隠れたロマンス

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 北朝鮮は暗い所だ。この国で電気が使える唯一の都市は首都平壌に限られていて、それ以外の場所はすべて闇に包まれている。しかし、この国でも美しいラブストーリーが存在する。

 バーバラ・デミックが北朝鮮の普通の人の暮らしを書いた本、'Nothing to Envy: Real Lives in North Korea'によると、どんなに国家が厳しい監視体制をひいても、若者の恋愛を止めることはできないことが明かされている。北朝鮮にいる十代の若者達も、暗闇を利用して彼らの恋人達と世界中のティーンエイジャーたちがするように、共に時を過ごす。どんなに厳しく管理された環境下でも恋愛の抜け道はちゃんとあるということだ。


7.勇敢なUボート

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 第二次大戦中の1939年、ドイツの潜水艦Uボートに追跡されていることに気づいたギリシャの水兵らは、船を放棄することを決めた。当時最強を誇っていたUボードにかかれば、ギリシャ軍の船なんか一気に駆逐されてしまう。ところがその時の海は荒れていて、彼らの救命艇は不覚にもUボートに近づいてしまった。その状況で救命艇の一つが転覆してしまったのだ。水兵らは海に投げ出された。一巻の終わり。水兵らは誰もがそう思った。

 ところが予想外のことが起きた。Uボートの艦長は浮上命令を下し、28人のギリシャ兵を乗船させ、彼らを中立国であるアイルランドまで運んでいったのだ。ギリシャの水兵らを浜辺に降ろしたUボートは、そのまま戦地へと戻っていった。史上最も残酷な戦争のさなかにあったナチスの将校は、静かに28人の命を救ったのだ。


6.エジプトの宗教を超えた革命的団結

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 2011年、エジプトで、過激派がアレクサンドリアの教会を襲撃し、エジプト人キリスト教徒21人の命を奪ったという事件があった。事件当時この教会は"開放期間中"で、近くに住むイスラム教徒が避難していた。激しい革命のさなか、日に5回メッカに向かって祈りを捧げるために立ち止まることは、ちょっとした隙を作ることになる。そこで、くキリスト教徒の人々は、隣人を守る為に教会の周りに立ち、人間の盾となった。悲しいことにそこで襲撃され息絶えていった。たとえ宗教が違っても、お互いを思いやる気持ち、助け合う心は1つなのである。


5.過激派をやっつけたソマリアのミュージシャン

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 ソマリアでは90年代に政府が崩壊して以来、国の大部分が残忍な将軍に支配されていた。2006年になると、南部の大半がテロリスト集団に引き継がれ、反体制的な音楽を聴くことですら死刑にされた。よって、こういった奴らを馬鹿にするには、ある種の勇気が必要になることは想像がつくだろう。というわけで、世界でもっとも太い肝っ玉をもつ男の話を聞かせよう。

 2004年、Shiine Akhyaar Ali はソマリ族のバンド、"Waayaha Cusub" を結成した。そのバンド名には反聖戦の歌をうたい、地域の指揮官をあざ笑うという意味が込められていた。どんな犠牲を払おうとも平和のメッセージを発信すると心に決めた彼らは、2007年に過激派にShiineが5度も撃たれる出来事があった後ですら曲を作り続けた。その先はどうなったのか?彼らは勝利した、2年前に過激派は首都モガディシオから追い出され、Waayaha Cusub はミュージックフェスティバルの計画に追われた。現在彼らは自分達の音楽を利用して、暴力の絶えない環境に暮らす子供たちのために、平和につながるようなワークショップを開き、過激派の残した爪跡を拭い去るための活動をしている。


4.兄の愛が弟を救う(シリア)

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 シリアの戦争は身震いするような状況をいくつも作り出した。しかし最悪の状況においても、人々の胸を打つような献身的な行いが無くなることはない。戦火の激しい地帯で、24歳のOmarの弟、11歳のAbdulrahmanは砲撃され、脚の切断手術を余儀なくされた。弟は一歩も歩くことはできない。



 どうしても弟を助けたかったOmarは、弟を背負ってトルコまでの長い道のりを歩いた。ところが、トルコにもその武力衝突は飛び火しており、国境は事実上無法地帯となっていた。そこを通過するのは手榴弾でお手玉するレベルの危険さだ。だがOmarはあきらめなかった。弟を助けたい想いは弾丸をも潜り抜けた。奇跡的に2人は危険地帯を通り抜けることに成功。11歳のAbdulrahmanは今も生きていて、思いやりにあふれた兄に感謝しているという。


3.大量殺戮に"No"を突きつけたカップル

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 1990年、ルワンダは近代史でも稀に見る最悪の大量殺戮にみまわれた。過激派のフツ族による残忍な暴走のために、この国は100日間で、人口の約20パーセントを失った。この残酷な殺戮のさなか、穏健派のフツ族であるRwanburindi Enoch と彼の妻は自らのポリシーを貫いた。

 まず始めに、彼らは暴力に関わることを断った。それは穏健派のフツ族が、ツチ族と同じぐらい一気に殺された時だった。次にEnochは負傷したツチ族を自宅に招き入れた。地元のフツ族の強硬派勢力軍が命を奪うと脅迫したにも関わらず、彼らに隠れ家を与えた。三番目に彼は自宅が手狭になると、ツチ族が身を隠すためだけの家屋を自分の土地にもう一つ建てた。彼は"なぜ家族を危険にさらすのか?"と聞かれた時、"キリスト教徒の仲間を見放すわけにはいかなかった"、と答えた。Enochは信用やお金、ほとんどすべてを失いながらも大勢の命を救ったのだ。


2.サラエボの過去を救う

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 "サラエボ包囲"という言葉を聞いたことがあるだろうか?ボスニア・ヘルツェゴビナの紛争中、セルビア人が4年間にわたりムスリムが大多数を占める都市を包囲し、狙撃兵の監視下に置いたというものだ。しかしEnver Imamovic にとって自身の命を失うことはたいした問題ではなかった。彼の最大の懸念は、ある一冊の本が侵略行為によってズタズタにされることだった。

 Imamovic は国立博物館の館長だった。その中で最も価値のある本は、660年前に出エジプト記に関するユダヤ人の物語が記された中世の本、"ハッガーダー"だった。この本には10億ドルの保険がかけられていたが、殺戮のさなかにあってはそれもあまり意味をなさないのは明らかだった。Imamovicは、ボスニアで暮らしていたユダヤ人文化をたどった最古の有形資産をユーゴスラビア人民軍が消してしまうことを恐れ、本を守るために本当に命をかけた。彼の話には警官への賄賂や銃弾の回避、そして迫撃砲であわや抹殺というエピソードが含まれる。だが彼はそれを何とかやり遂げた。彼の努力により、ボスニアの"過去のかけら"は現代史に残る"最も長く続いた包囲"を乗り越えた。この話の凄いところは、Imamovic はユダヤ人ではなく、ムスリム人だったことだ。そう、彼の国は全土に渡って民族の境界に沿って分割されたようなものなのに、Imamovic はなおも彼らが共有した遺産の象徴のために命をかけたのだ。


1.アウシュビッツの犠牲

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 アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所はドイツが第二次世界大戦中に国家をあげて推進した人種差別的な抑圧政策により、最大級の惨劇が生まれたとされる強制収容所である。

 だがこの地獄の場所にさえ、温かい人の心は確かにあったのだ。1941年、3人の囚人が収容所からの脱出を試みた結果、副司令官は報復としてが10人の囚人を餓死させる命令を下した。無作為に選ばれたある男は、残される妻と子供達を思い泣き叫び始めた。その時、Maximilian Kolbe という名の別の囚人が前に進み出てきて、自分が身代わりになることを申し出た。

 Kolbeは選ばれた男とは何の関係もないのに、代わって死ぬことを志願したのだ。ナチスがそれを黙認し、他の9人と共に彼をバンカーの中に送り込んだ時も彼の魂は揺るがなかった。彼は人生の最後の2週間、そのカトリック信仰心をもって他の人々を心安らかすることと、威厳を持って自身の最期を受け入れたという。そして彼の行いは決して無駄にはならなかった。彼がこの時救った男、Franciszek Gajowniczekは、無事に生き延び、53年間の余命を得ることができたのだから。

via:10 Heart-Warming Tales from the Worst Places on Earth  原文翻訳:R

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コメント

1

1. 匿名処理班

  • 2013年06月11日 20:51
  • ID:.gMdTtHs0 #

ホテル・ルワンダも実話だけど、同じように自分の危険を顧みず人命を救った人は他にもいるんだねえ

2

2. 匿名処理班

  • 2013年06月11日 21:29
  • ID:vEmc.Nfc0 #

4.こんな小さい弟が、こんな小さな体と心に受けた痛みを考えるともう・・・
何より兄ちゃんGJすぎる。
おまけに弟は将来有望なイケメンだ。この先の人生幸多からんことを。

3

3. おまえら

  • 2013年06月11日 22:13
  • ID:e2xPDhH40 #

ザイーガのニュル動画みてからカラパイアの動物ほっこり動画

4

4. 匿名処理班

  • 2013年06月11日 22:20
  • ID:qpzp5kaB0 #

9のルイージさんは主役なんやな

5

5. 匿名処理班

  • 2013年06月11日 22:20
  • ID:AtcapINO0 #

言葉も出んくらいの話ばっかりだ…

6

6. 匿名処理班

  • 2013年06月11日 22:58
  • ID:fW8DnpRv0 #

命がけって、想像するよりすごいんだろうけど、いまいち想像しきれない。
でもなんか胸が押しつぶされそうなくらいの迫力のあるエピソードばかりだと思った。

7

7. t

  • 2013年06月11日 23:05
  • ID:TtgIAbIk0 #

宗教や民族の違いを超えて命や書物を守る人たちに感動した
自分の命を危険に晒されても勇気を持って立ち向かう人たちは本当に凄い
死ぬ時は誰かの役に立てたらいいと思うけど自分にはできないだろうな

8

8. 匿名処理班

  • 2013年06月11日 23:06
  • ID:So1D2xJb0 #

そんな事をして良く大丈夫だったな。イーノック。

9

9. 匿名処理班

  • 2013年06月11日 23:14
  • ID:jMhndN9T0 #

Kolbe神父は長崎で不況活動していた人だな。

10

10. 匿名処理班

  • 2013年06月12日 00:13
  • ID:TA2XlM8s0 #

7は国防軍の将校だから救助したんだろ

11

11. 匿名処理班

  • 2013年06月12日 01:23
  • ID:36G67ugF0 #

私たちの周りには、本当は素晴らしいニュースがたくさんあるはず。
なぜ暗いニュースを率先してマスコミの人は報道するのだろう。

12

12. はぶ

  • 2013年06月12日 08:41
  • ID:vdSWfpTs0 #

命にさえ取って代わる価値、守るべきものがあると言うのをしみじみと感じます。ヒトのヒトたる所以はそこにこそあるのかも知れません。

13

13. 匿名処理班

  • 2013年06月12日 12:49
  • ID:CLSLDdnW0 #

あの犬ってコリーなの?

14

14. 匿名処理班

  • 2013年06月13日 11:29
  • ID:h6cO5OzV0 #

※13
みんなが聞きたくなきゃ暗いニュースなんて売れない
人間は人の不幸や失敗が大好きなのよ 残念ながら

15

15. 匿名処理班

  • 2013年06月13日 12:23
  • ID:dWhx.2UQ0 #

宗教で戦争がおきるけど、宗教は命も救う。

16

16. 匿名処理班

  • 2013年06月13日 14:07
  • ID:I7j0ojXC0 #

ナチス軍人というだけで悪とする風潮だが、どこの国の軍人にも人格者はいるし逆に悪い奴もいる。我々は先入観にとらわれず曇りのない眼で歴史を見極める必要がある。

17

17. 匿名処理班

  • 2013年06月13日 16:56
  • ID:s1xONf3p0 #

てか北朝鮮は別に自由恋愛禁止って訳じゃないでしょ

18

18. 匿名処理班

  • 2013年06月13日 23:43
  • ID:0QrooRc.0 #

駆逐艦雷「いかづち」もよろしく

19

19. 匿名処理班

  • 2013年06月15日 23:27
  • ID:Abo1t16w0 #

完全に自分の無知のせいなんだけど、正直、ぴんと来ないものばかりだ。
ユーゴもシリアもソマリアも、どういう状況の中で生まれた出来事なのか一つもちゃんとイメージできない。イメージできないと、共感も感情移入も難しいんだなって思い知ったわ。

20

20. 匿名処理班

  • 2013年12月26日 21:48
  • ID:R8i3.b9n0 #

10以外は戦争がらみだな。もっと世界が平和ならいいのにね。

21

21. 匿名処理班

  • 2014年05月25日 16:34
  • ID:IvSjRq7U0 #

そろそろ戦争がなければ、誰かが誰かの代わりに死ぬこともない…と

22

22. 匿名処理班

  • 2016年06月24日 19:22
  • ID:CpFquK9b0 #

最後のコルベ神父の話は最近の高校の教科書に載ってるよ

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