撃ち殺されても文句が言えない観光地、韓国と北朝鮮の軍事境界線上にある村「板門店」

　板門店（パンムンジョム）は、朝鮮半島の非武装地帯のもっとも微妙なエリアにある。ここを訪れた観光客が、敵の攻撃によって、負傷したり死亡したりしても、すべて自分で責任を負うという書類にサインさせられる唯一の観光地である。 　板門店はソウルの北55キロの地点にある小さな村で、韓国と北朝鮮の事実上の国境だ。1953年、この地で休戦協定が結ばれたが、和平は合意されず、両国は50年以上も交戦状態で、100万もの人間がこの非武装地帯（DMZ）を警戒している。

　朝鮮半島をふたつに隔てるこの4キロに渡る細長い土地は、世界でもっとも厳重に武装された地域なのだ。トーチカ、地雷、有刺鉄線、戦車が国境にひしめきあい、南はソウル、北はピョンヤンへと延びている。 　東に1キロのところにあるさびれた村が、共同警備地区（JSA）になっていて、南北が共同で警備している。ここでは時に会議が行われたり、銃撃があったりして、始終、互いの兵士が国境をはさんで睨みあっている。1976年にふたりの米兵が非武装地帯の木を刈ろうとして、北朝鮮の兵士に斧で殺された事件以来、境界線を越えて互いのエリアに入ることは許されていない。 　ここは危険な場所だが、大勢の観光客を惹きつける。毎年、相当数の観光客が、冷戦の最後の国境をひと目見ようとやってくる。板門店への62キロの旅も、それ自体が名所だ。国境に近づくにつれ、12車線もある高速道路は不気味なほど閑散とする。

　戦争が勃発したら、すぐさま戦車が駆けつけられるよう作られた道路なのだ。侵略を撃退するために、両国側の道路沿いには鉄条網が張られ、数百メートル毎に監視所が建ち、高台にはマシンガンが備えられている。中央分離帯には防衛のための土嚢が積まれ、道路上の高架橋には、いざという時は破壊して道路を封鎖するための巨大なコンクリートブロックがある。 　板門店の主な楽しみのひとつは、淡青色の平屋の建物を訪ねることだ。ここは両国の職員が時々顔をつき合わせる場所。グリーンのビロードで覆われた会議テーブルが、まさに国境線の上に置かれていて、テーブルの真ん中を走るマイクロフォンのケーブルが正式な国境線と認められている。 　観光客が建物の中に案内される時は、国連主導の司令を受けた四人の米兵が、建物の両端に立ってガードする。一方、北朝鮮の兵士たちは窓からのぞいてそれを見張る。観光客たちは、北朝鮮の兵士たちと視線を合わせたり、彼らに敵対するような仕草は一切しないよう、警告される。服装にも厳しい規定があり、ジーンズや、ショートパンツ、その他刺激的な服装は一切だめだ。

南北コリアのボーダー　板門店 　ワシントンポスト紙のケヴィン・サリヴァンは言う。「この非武装地帯を休暇の旅行先としてお薦めできるかどうかわからないが、ビジネスや休暇で韓国に行く予定がある人にとっては、絶対に見逃せない場所だ。ツアーバスで行くことのできるもっとも異様で、いろんな意味で魅力的な場所だから」と。

※この記事は海外サイトの原文に基づいて意訳したものです。

via:amusingplanet

原文翻訳：konohazuku

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